安否確認とは?災害時に家族の無事を確認する方法を防災の専門家が徹底解説

はじめに

なぜこの記事を書いたのか

「大きな地震が発生しました。家族とは連絡が取れていますか?」

災害が発生したとき、多くの人が最初に気になるのは家族や大切な人の無事です。自宅にいる家族、学校にいる子ども、離れて暮らす親――。被害の状況が分からない中で、「無事だろうか」「けがをしていないだろうか」と不安な時間を過ごした経験がある人も多いのではないでしょうか。

私はこれまで自治体や地域、防災関係者向けの防災研修や計画づくりに携わってきました。その中で強く感じるのは、「安否確認は最も身近で重要な防災対策であるにもかかわらず、十分に準備できている家庭は意外と少ない」ということです。

防災というと非常食や水の備蓄、家具の固定などを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、災害発生直後に家族の無事を確認できるかどうかは、その後の避難行動や生活再建にも大きく影響します。

この記事では、防災の専門家の視点から、安否確認の基本的な考え方や具体的な方法について分かりやすく解説します。

能登半島地震でも安否確認が課題になった

2024年1月に発生した能登半島地震では、多くの人が家族や知人との連絡に苦労しました。

地震発生直後には電話がつながりにくい状態となり、「家族と連絡が取れない」「親戚の安否が分からない」といった状況が各地で発生しました。避難所でも、家族の安否を心配する声が数多く聞かれています。

こうした状況は能登半島地震だけではありません。東日本大震災や熊本地震でも同様に、多くの人が安否確認に苦労しました。

大規模災害が発生すると、被害そのものだけでなく、「家族の状況が分からない」という不安が人々を苦しめるのです。

「連絡が取れない=無事ではない」ではない

災害時に知っておいてほしい大切なことがあります。それは、「連絡が取れないこと」と「被災していること」は必ずしも同じではないということです。

災害が発生すると、多くの人が一斉に電話をかけるため通信回線が混雑します。また、停電や基地局の被災によって携帯電話そのものが利用できなくなることもあります。

そのため、本人は無事で避難していても、通信環境の問題で連絡が取れないケースは珍しくありません。実際に東日本大震災では、数日後になってようやく家族と連絡が取れたという事例が数多くありました。能登半島地震でも同様の状況が発生しています。

大切なのは、電話がつながらないことを想定したうえで、複数の安否確認手段を準備しておくことです。

本記事では、LINEやSMS、災害用伝言ダイヤル171、災害用伝言板など、災害時に活用できる安否確認の方法について詳しく解説していきます。

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第1章 安否確認とは何か

安否確認とは

安否確認とは、災害や事故などの緊急時に、家族や親戚、友人などの無事を確認することをいいます。

地震や台風、大雨などの災害が発生すると、多くの人はまず自分自身の安全を確保し、その後に家族や大切な人の状況を知りたいと考えます。

安否確認は不安を解消するだけでなく、その後の避難行動や生活再建の判断材料としても重要な役割を果たします。

なぜ安否確認が必要なのか

災害時に家族の安否が分からない状態は、大きな精神的負担となります。

また、家族の状況によって取るべき行動も変わります。無事が確認できれば落ち着いて行動できますが、連絡が取れなければ情報収集や捜索が必要になる場合もあります。

防災における安否確認の位置づけ

防災では「自助」「共助」「公助」が重要とされています。

大規模災害の直後は行政も被災対応に追われるため、まずは家族同士で安否を確認し、自ら行動することが求められます。

そのため、多くの自治体でも家族間の安否確認方法を事前に決めておくことを推奨しています。

安否確認は事前の備えが重要

安否確認は災害が発生してから考えるものではありません。

事前に方法やルールを決めておくことが、災害時の安心につながります。

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第2章 なぜ災害時は連絡が取れなくなるのか

災害時に電話がつながらないのは珍しいことではない

大きな地震が発生すると、多くの人が真っ先に家族へ電話をかけます。

災害発生直後には、日本中で同じような行動が一斉に起こります。その結果、短時間のうちに大量の通話が集中し、電話回線が混雑します。

普段は問題なく利用できる携帯電話でも、災害時には発信してもつながらない、呼び出し音が鳴らない、途中で切れてしまうといった状況が発生します。

しかし、ここで知っておいていただきたいことがあります。それは、「電話がつながらない=相手に何かあった」というわけではないということです。

実際には、本人は無事で避難していても、通信環境の問題によって連絡が取れなくなっているケースが数多くあります。災害時には、電話がつながらなくなること自体は決して珍しいことではないのです。

通信規制によって電話が制限される

災害時に電話がつながりにくくなる理由の一つが「通信規制」です。

通信規制とは、携帯電話会社が通信設備を守るために一時的に通話を制限する仕組みです。

もし利用者全員が同時に電話をかければ、通信網そのものが機能しなくなる可能性があります。そのため、消防や警察などの緊急通信を優先しながら、一般利用者の通話を制限することがあります。

東日本大震災では、発災直後に携帯電話の通話が大幅に制限されました。その結果、何度電話をかけてもつながらない状態が長時間続き、多くの人が家族の安否確認に苦労しました。

一方で、音声通話よりもデータ通信の方が比較的利用しやすい場合があります。そのため、電話はつながらなくても、LINEやメールは送信できたという事例も多く報告されています。

基地局の被災や停電も影響する

電話がつながらなくなる原因は、通信の混雑だけではありません。

私たちのスマートフォンは、各地に設置された携帯電話基地局を経由して通信しています。しかし、地震や津波、洪水などによって基地局そのものが被災すると、その地域では通信サービスが利用できなくなる場合があります。

また、基地局が無事であっても停電によって機能が停止することがあります。さらに、スマートフォン本体の充電が切れてしまうことも大きな問題です。

災害による停電が長引くと、充電する場所を確保できず、連絡手段そのものを失う可能性があります。

つまり、災害時には次のような複数の要因が重なり、連絡が取れなくなるのです。

地震のとき電話はいつからつながるのか

災害時によく聞かれる質問の一つが、「電話はいつになったらつながるのか」というものです。

しかし、残念ながら一概には答えられません。被害の規模や地域によって状況が大きく異なるためです。

単に利用者が集中しているだけであれば、数時間程度で改善することもあります。しかし、通信設備が被災している場合には、復旧まで数日から数週間かかることもあります。

実際に東日本大震災では、地域によっては長期間にわたり通信障害が続きました。また、能登半島地震でも通信環境の復旧に時間を要した地域があります。

特に発災直後の数時間は、最も電話がつながりにくい時間帯です。そのため、防災の専門家は「電話がつながらないことを前提に行動する」ことを推奨しています。

LINEは本当に使えるのか

近年では、電話よりもLINEで安否確認を行う人が増えています。

実際に、大規模災害では電話よりもLINEの方がつながりやすい場合があります。その理由は、LINEが音声通話ではなくデータ通信を利用しているためです。

通信量が比較的少ないメッセージであれば、混雑時でも送信できる場合があります。東日本大震災や熊本地震では、電話はつながらなくてもメールやSNSで連絡が取れたという事例が数多く報告されています。

ただし、LINEも万能ではありません。停電によるバッテリー切れや通信設備の被災、携帯電話会社の通信障害などが発生すれば利用できなくなる可能性があります。

そのため、「LINEだけに頼る」のではなく、複数の安否確認手段を準備しておくことが大切です。

能登半島地震でも安否確認が大きな課題となった

2024年1月に発生した能登半島地震では、多くの地域で停電や通信障害が発生しました。

道路の寸断によって現地に向かうことも難しく、家族や親戚の状況を直接確認できないケースが相次ぎました。

避難所では、「家族と連絡が取れない」「遠方の親戚の安否が分からない」といった不安の声が多く聞かれています。

災害時には、被害そのものだけでなく、「大切な人の状況が分からないこと」が大きな精神的負担となるのです。

東日本大震災から学ぶべき教訓

東日本大震災では、多くの人が電話だけに頼った安否確認の限界を経験しました。

何十回も電話をかけ続けてもつながらず、数日後になってようやく家族の無事を確認できたという事例も少なくありません。

一方で、災害用伝言ダイヤル171や災害用伝言板、SNSなどを活用して比較的早く安否確認できた人たちもいました。

この経験から得られた最大の教訓は、「電話だけに頼らないこと」です。

災害時には、どの通信手段が利用できるか分かりません。だからこそ、複数の手段を知り、家族で共有しておくことが重要なのです。

安否確認は「複数の手段」を持つことが重要

ここまで見てきたように、災害時には電話がつながらなくなるさまざまな理由があります。しかし、それは決して特別なことではありません。

むしろ、大規模災害では電話がつながらないことを前提に考えるべきです。

大切なのは、電話以外の連絡手段を知っておくことです。

LINE、SMS、災害用伝言ダイヤル171、災害用伝言板、SNSなど、複数の方法を組み合わせることで、家族の安否を確認できる可能性は大きく高まります。

次章では、災害時に利用できる主な安否確認手段について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。

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第3章 災害時に利用できる安否確認手段

安否確認は「一つの手段に頼らない」ことが大切

前章で解説したとおり、災害時には電話がつながらなくなることがあります。

そのため、防災では「複数の安否確認手段を準備しておくこと」が重要だとされています。

例えば、電話が利用できなくてもLINEは利用できるかもしれません。LINEが使えなくてもSMSは送信できるかもしれません。また、携帯電話会社が提供する災害用伝言板や災害用伝言ダイヤル171が役立つ場合もあります。

大切なのは、「どれか一つが使えれば良い」ではなく、「どれか一つが使えなくても対応できる状態」を作っておくことです。

ここでは、災害時に利用できる主な安否確認手段について紹介します。

電話

最も身近な安否確認手段が電話です。

相手の声を直接聞くことができるため、安否だけでなく周囲の状況や必要な支援についても確認できます。

しかし、大規模災害では最もつながりにくくなる手段でもあります。

災害発生直後は多くの人が一斉に電話をかけるため、通信規制や回線の混雑が発生します。

そのため、防災の観点では「まず電話を試すが、つながらなければ他の手段へ切り替える」ことが重要です。

SMS(ショートメッセージ)

SMSは携帯電話番号を使って短い文章を送るサービスです。

電話回線の仕組みを利用しているため、音声通話より少ない通信量で利用できます。そのため、電話がつながらない状況でもSMSなら送信できる場合があります。

例えば、

といった短いメッセージを送るだけでも、大きな安心につながります。

家族の電話番号を把握している場合は、SMSも有力な安否確認手段になります。

LINE

現在、最も利用者が多い安否確認手段の一つがLINEです。

家族グループを作っておけば、一度の投稿で複数人へ状況を伝えることができます。また、写真や位置情報を送ることも可能です。

例えば、

といった情報を家族全員で共有できます。

東日本大震災や熊本地震でも、電話はつながらなくてもLINEやメールで連絡が取れたという事例が数多くありました。

ただし、停電によるスマートフォンのバッテリー切れには注意が必要です。

X(旧Twitter)

Xは不特定多数へ情報発信できるSNSです。

家族や友人に向けて安否情報を発信するだけでなく、地域の被害状況や避難所情報を収集する際にも役立ちます。

実際の災害では、

といった投稿が多数行われます。

ただし、誤情報やデマも拡散されやすいため、情報の真偽を確認することが重要です。

Facebook

Facebookも安否確認に活用できるSNSです。

特に有名なのが「災害時情報センター(Safety Check)」です。

大規模災害が発生すると、Facebookが対象地域の利用者に対して安否確認を促し、「無事です」と登録できる機能が提供される場合があります。

家族や友人は、その情報を確認することで安否を把握できます。

利用者は減少傾向にありますが、中高年世代では現在も活用されているサービスです。

Googleの安否確認機能

Googleも災害時には被災地域に関する情報を集約し、避難情報や災害情報を提供することがあります。

また、位置情報共有機能を利用している場合には、家族がおおよその居場所を確認できる場合もあります。

普段からGoogleアカウントを利用している人は、位置情報共有機能について確認しておくとよいでしょう。

災害用伝言ダイヤル171

災害用伝言ダイヤル171は、災害時専用の安否確認サービスです。

電話番号をキーとして伝言を録音し、家族や知人がその伝言を再生できます。

例えば、

というメッセージを録音しておけば、家族は171に電話して内容を確認できます。

東日本大震災でも活用された代表的な安否確認手段です。

利用方法はそれほど難しくありませんが、平時から練習しておくことが重要です。

詳しい使い方は第5章で解説します。

災害用伝言板

携帯電話会社各社は、災害用伝言板サービスを提供しています。

これはインターネット上の掲示板に安否情報を登録し、家族や知人が確認できる仕組みです。

例えば、

といった情報を登録できます。

電話がつながりにくい状況でも利用できる可能性があるため、171と並ぶ重要な安否確認手段といえます。

詳しい利用方法は第6章で紹介します。

安否確認手段の比較

災害時の安否確認手段には、それぞれ特徴があります。

手段 特徴
電話 声が聞けるが混雑に弱い
SMS 短文向きで比較的送信しやすい
LINE 家族全体で情報共有しやすい
X 情報発信と情報収集に便利
Facebook 安否確認機能が利用できる場合がある
Google 位置情報共有が活用できる
171 災害専用で信頼性が高い
災害用伝言板 電話が使えない場合の代替手段

重要なのは、「どれが一番優れているか」ではありません。

災害時には利用できる手段が状況によって変わるため、複数の方法を知り、家族で共有しておくことが大切です。

次章では、多くの家庭で利用されているLINEを使った安否確認の方法について詳しく解説します。

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第4章 LINEで安否確認する方法

なぜLINEが安否確認に役立つのか

現在、多くの家庭で利用されているコミュニケーションツールがLINEです。

家族との連絡手段として日常的に使っている人も多く、「災害時もまずLINEで連絡しよう」と考えている人は少なくありません。

実際、大規模災害では電話がつながりにくくなっても、LINEのメッセージ機能が利用できる場合があります。

その理由は、電話が音声通話を利用するのに対し、LINEはデータ通信を利用しているためです。

もちろん、災害の規模や通信環境によってはLINEも利用できなくなる可能性があります。しかし、電話だけに頼るよりも安否確認できる可能性は高まります。

また、家族グループを活用すれば、一度の投稿で複数の家族へ同時に状況を伝えられることも大きなメリットです。

家族専用のLINEグループを作ろう

安否確認のためには、家族専用のLINEグループを作っておくことをおすすめします。

例えば、

など、家族全員が参加するグループです。

災害時には誰か一人が状況を投稿するだけで、全員が情報を共有できます。

また、個別に何人もへ連絡する必要がなくなるため、通信量や手間を減らすことにもつながります。

グループ名も、

など分かりやすい名称にしておくとよいでしょう。

災害専用グループを作るのもおすすめ

家族グループが普段の雑談で頻繁に使われている場合は、災害専用グループを別に作る方法もあります。

普段の家族グループでは、

など多くの投稿が流れています。

その中に安否確認情報が埋もれてしまうこともあります。

そこで、

といった専用グループを作り、災害時のみ利用するルールにしておくと、必要な情報を整理しやすくなります。

安否確認メッセージのテンプレートを決めておく

災害発生直後は誰もが混乱しています。

そのため、「何を送ればいいのか分からない」という状況になりがちです。

そこでおすすめなのが、事前に報告テンプレートを決めておくことです。

例えば、次のような形式です。

安否確認

  1. ① 自分の状況:無事
  2. ② 現在地:○○小学校避難所
  3. ③ けがの有無:なし
  4. ④ 家族の状況:確認中
  5. ⑤ 必要な支援:なし

このような形式を決めておけば、短時間で必要な情報を共有できます。

特に現在地は重要です。災害時には「無事」という情報だけでなく、「どこにいるか」が分からないケースも少なくありません。

避難所名や施設名まで記載する習慣をつけておきましょう。

子どもにも安否確認の方法を教えておこう

小学生や中学生になると、保護者と離れている時間が長くなります。

そのため、子どもにも安否確認の方法を教えておくことが重要です。

スマートフォンを持っている場合は、

というルールを決めておきましょう。

また、スマートフォンを持っていない場合でも、

といったルールを家族で共有しておくことが大切です。

子どもは大人以上に不安を感じます。だからこそ、事前に繰り返し話し合っておくことが重要です。

高齢の家族にも無理のない方法を

高齢の親や祖父母がいる場合は、LINEの利用状況を確認しておきましょう。

家族は「LINEで連絡すれば大丈夫」と考えていても、実際には使い慣れていないケースがあります。

そのため、

などを一緒に確認しておくと安心です。

また、高齢者の場合はLINEだけでなく電話やSMSも併用できるようにしておくことをおすすめします。

特に遠方に住む高齢の親がいる場合は、どの方法なら確実に連絡できるかを事前に話し合っておきましょう。

LINEでよくある失敗

LINEは便利なツールですが、災害時にはいくつか注意点があります。

まず多いのが、「無事です」だけ送ってしまうケースです。

これでは家族は安心できても、「どこにいるのか」が分かりません。

できるだけ、

まで伝えるようにしましょう。

また、「返信がない=危険」と決めつけるのも避けるべきです。

災害時には、

などの理由で返信できないことがあります。

返信がないだけで最悪の事態を想像してしまうと、冷静な判断ができなくなります。

さらに、スマートフォンの充電切れにも注意が必要です。災害時は必要な連絡だけに利用し、不要な動画視聴やSNS閲覧は控えるようにしましょう。

LINEだけに頼らないことが大切

LINEは非常に便利な安否確認手段です。

しかし、停電や通信障害が発生した場合には利用できなくなる可能性があります。

そのため、防災では「LINEを第一候補にしつつ、他の手段も準備しておくこと」が重要だとされています。

家族の無事を確認するためには、

などを組み合わせて活用することが大切です。

次章では、災害時に多くの自治体や通信事業者が利用を推奨している「災害用伝言ダイヤル171」の使い方について詳しく解説します。

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第5章 災害用伝言ダイヤル171の使い方

災害用伝言ダイヤル171とは

災害用伝言ダイヤル171は、災害発生時に利用できる安否確認サービスです。

大規模な地震や風水害などが発生すると、電話回線が混雑し、家族や親戚と連絡が取れなくなることがあります。そのようなときに活用できるのが171です。

171は、NTTが提供する音声メッセージ型の安否確認サービスで、被災した人が自分の状況を録音し、そのメッセージを家族や知人が再生して確認できます。

簡単に言えば、「災害時専用の留守番電話」のような仕組みです。

東日本大震災や熊本地震、能登半島地震などでも利用されており、国や自治体も活用を推奨している代表的な安否確認手段の一つです。

なぜ171が必要なのか

「LINEがあるのに171は必要なの?」

そう思う人もいるかもしれません。

確かに現在はLINEやSNSが普及しています。しかし、災害時にはスマートフォンの故障や通信障害、バッテリー切れなどによって利用できなくなる可能性があります。

また、高齢者の中にはLINEを利用していない人も少なくありません。

171は固定電話や公衆電話からも利用できるため、さまざまな状況に対応できるという強みがあります。

防災では「複数の連絡手段を持つこと」が重要です。その意味で171は、電話やLINEを補う重要な安否確認手段といえます。

171で伝言を録音する方法

自分の安否を家族へ伝える場合は、まず171に電話をかけます。

すると音声ガイダンスが流れます。

基本的な流れは次のとおりです。

  1. 171に電話する
  2. 「1」を押す(伝言の録音)
  3. 自宅の電話番号または連絡先として決めた電話番号を入力する
  4. メッセージを録音する

録音時間は30秒程度です。

そのため、長い説明ではなく、必要な情報を簡潔に伝えることが大切です。

  1. 井上です。家族全員無事です。
  2. ○○小学校に避難しています。
  3. けがはありません。

といった内容で十分です。

171で伝言を再生する方法

家族や知人の安否を確認したい場合は、171に電話して伝言を再生します。

手順は次のとおりです。

  1. 171に電話する
  2. 「2」を押す(伝言の再生)
  3. 相手の電話番号を入力する
  4. 登録されているメッセージを聞く

例えば、自宅の固定電話番号を家族共通の番号として決めておけば、家族全員が同じ番号で安否確認を行うことができます。

災害時には混乱しやすいため、「どの電話番号を使うのか」を事前に決めておくことが重要です。

家族で決めておきたい利用ルール

171を活用するためには、平常時からルールを決めておく必要があります。

おすすめなのは、

  1. 災害時はまず171に登録する

というルールです。

例えば、

などを決めておくと、災害時の混乱を減らせます。

家族全員が同じルールを理解していることが大切です。

171は実際に練習できる

171は災害発生時だけのサービスではありません。

毎月の体験利用日や防災週間などには、実際に操作を試すことができます。

利用方法を知らないまま災害を迎えてしまうと、いざという時に使えない可能性があります。

しかし、一度でも体験しておけば、操作に戸惑うことは少なくなります。

防災訓練の一環として、家族全員で試してみることをおすすめします。

171の体験利用日

171には定期的な体験利用日が設けられています。

代表的なものは次のとおりです。

実施内容は変更される場合もあるため、最新情報はNTTの案内を確認してください。

特に毎月1日と15日は覚えやすいため、家族で練習する日にするとよいでしょう。

実際の利用例

例えば、休日に家族が別々の場所にいたとします。

という状況で大地震が発生しました。

電話はつながりません。

そのような場合でも、それぞれが171へ

  1. 無事です。○○避難所にいます。

と録音しておけば、家族は相互に状況を確認できます。

実際の災害では、「どこにいるのか分からない」ことが大きな不安になります。

171は、その不安を減らすための有効な手段なのです。

171は防災対策の基本の一つ

災害用伝言ダイヤル171は、昔から利用されている信頼性の高い安否確認手段です。

LINEやSNSが普及した現在でも、その重要性は変わっていません。

特に家族の中に高齢者がいる場合や、スマートフォンが利用できない状況を想定する場合には、ぜひ覚えておきたいサービスです。

ただし、171だけで十分というわけではありません。

防災では、

など複数の方法を組み合わせることが重要です。

次章では、携帯電話会社各社が提供している「災害用伝言板」について、その仕組みや利用方法を詳しく解説します。

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第6章 災害用伝言板の使い方

災害用伝言板とは

災害用伝言板とは、大規模な地震や風水害などが発生した際に、携帯電話会社が提供する安否確認サービスです。

電話がつながりにくい状況でも、インターネットを利用して安否情報を登録し、家族や知人がその情報を確認できる仕組みになっています。

災害用伝言ダイヤル171が「音声メッセージ」で安否を伝えるサービスであるのに対し、災害用伝言板は「文字情報」で安否を伝えるサービスです。

例えば、

といった情報を登録できます。

東日本大震災や熊本地震などの大規模災害でも活用されており、現在では主要な携帯電話会社が提供しています。

災害用伝言板はいつ利用できるのか

災害用伝言板は常に利用できるわけではありません。

震度6弱以上の地震や大規模災害が発生した場合など、携帯電話会社が必要と判断した際に開設されます。

そのため、普段は利用できませんが、災害発生時には各社のホームページや専用アプリなどから利用できるようになります。

また、171と同様に体験利用期間が設けられている場合もあります。

災害時に初めて利用するのではなく、一度は操作方法を確認しておくことをおすすめします。

災害用伝言板の利用手順

利用方法は携帯電話会社によって多少異なりますが、基本的な流れは共通しています。

まず、自分の安否情報を登録する場合は、災害用伝言板へアクセスします。

  1. 災害用伝言板へアクセスする
  2. 安否状況を選択する
  3. コメントを入力する
  4. 登録内容を保存する

登録時には、

などの状況を選択し、必要に応じてコメントを入力します。

例えば、

などの内容を登録できます。

登録が完了すると、その情報を家族や知人が確認できるようになります。

安否を確認したい場合は、相手の携帯電話番号を入力して検索します。

すると、登録されたメッセージを閲覧できます。

操作自体は難しくありませんが、災害時には慌ててしまうこともあるため、事前に流れを知っておくことが重要です。

災害用伝言板のメリット

災害用伝言板にはいくつかの大きなメリットがあります。

主なメリットは次のとおりです。

災害時には多くの人が電話を利用するため、通話がつながりにくくなります。しかし、災害用伝言板は文字情報を利用するため、比較的安定して利用できる可能性があります。

また、一度登録すれば複数の家族や知人が同じ情報を確認できることも大きな利点です。

例えば、家族4人それぞれに電話をかける必要はありません。一度登録するだけで、多くの人に安否を伝えることができます。

さらに、伝言が記録として残るため、後から確認しやすいという特徴もあります。

災害用伝言板の注意点

便利なサービスですが、注意点もあります。

まず、家族全員がサービスの存在を知らなければ意味がありません。

災害時に一人だけ伝言板へ登録しても、他の家族が確認方法を知らなければ安否確認にはつながりません。

また、スマートフォンの充電切れや通信障害が発生している場合には利用できない可能性があります。

そのため、

といった複数の手段を準備しておくことが重要です。

災害用伝言板は、そのうちの一つとして活用するのが理想的です。

家族で決めておきたいこと

災害用伝言板を活用するためには、平常時から家族でルールを決めておくことが大切です。

例えば、

といったルールです。

特に重要なのは、「どの情報を書くか」を決めておくことです。

単に「無事です」だけでは不十分な場合があります。

可能であれば、

なども簡潔に記載するとよいでしょう。

安否確認で本当に大切なこと

ここまで、第4章ではLINE、第5章では災害用伝言ダイヤル171、そして本章では災害用伝言板について紹介しました。

それぞれ特徴は異なりますが、共通していることがあります。

それは、「災害が起きてから覚えるのでは遅い」ということです。

どれほど便利なサービスでも、使い方を知らなければ意味がありません。

また、家族の中で一人だけが知っていても十分とは言えません。

大切なのは、平常時から家族で話し合い、どの方法を使うのかを決めておくことです。

次章では、実際に家族で決めておきたい安否確認ルールについて詳しく解説します。災害時の混乱を減らすために、どのようなことを話し合っておくべきなのかを見ていきましょう。

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第7章 家族で決めておきたい安否確認ルール

なぜ家族のルール作りが必要なのか

災害時の安否確認で最も重要なのは、実は「連絡手段」ではありません。

本当に重要なのは、家族であらかじめルールを決めておくことです。

多くの人は、「災害が起きたら電話する」「LINEで連絡する」と考えています。しかし、前章までで解説したとおり、災害時には電話やインターネットが利用できなくなる可能性があります。

そのような状況で家族が何も決めていなければ、

といった不安や混乱が生じます。

一方で、事前にルールを決めておけば、連絡が取れなくてもある程度行動を予測できます。

実際に自治体や防災機関も、「家族で安否確認ルールを決めておくこと」を推奨しています。

誰に連絡するかを決めておく

災害発生直後は、多くの人が一斉に連絡を取り始めます。

そのため、家族全員が個別に連絡を取り合おうとすると、かえって混乱することがあります。

おすすめなのは、「まず誰に連絡するか」を決めておくことです。

例えば、

といった役割分担です。

また、遠方に住む親戚を「家族の連絡窓口」として決めておく方法もあります。

大規模災害では、被災地内よりも被災地外との通信の方がつながりやすい場合があります。

家族全員が同じ人へ状況を報告すれば、その人を通じて家族全体の安否を確認できます。

どこに避難するかを決めておく

安否確認でよくある問題が、「無事なのは分かったけれど、どこにいるか分からない」というケースです。

そのため、家族で避難先の優先順位を決めておくことが重要です。

例えば、

  1. 第一候補:自宅
  2. 第二候補:指定避難所
  3. 第三候補:親戚宅

というように決めておけば、連絡が取れなくても居場所を推測しやすくなります。

特に大規模地震では、家族全員が同じ場所にいるとは限りません。

それぞれがどこへ避難するのかを共有しておくことで、再会できる可能性が高まります。

子どもを誰が迎えに行くか決めておく

子育て世帯では、子どもの引き渡しルールも重要です。

保育園や幼稚園、小学校では、災害時に保護者への引き渡しが行われることがあります。

しかし、

という行き違いが起きることもあります。

そのため、

などを決めておきましょう。

また、学校や保育園の引き渡しルールについても確認しておくことが大切です。

連絡が取れないときのルールを決める

災害時には、連絡が取れないことも想定しなければなりません。

そのため、

  1. 連絡が取れなかったらどうするか

を決めておくことが重要です。

例えば、

  1. まずLINEを送る
  2. 返信がなければSMSを送る
  3. その後171を確認する
  4. 数時間後に再度連絡する

といった流れを決めておくと、混乱を減らせます。

特に大切なのは、「返信がない=危険ではない」と理解しておくことです。

災害時には通信障害や避難行動の影響で返信できない場合があります。

過度に心配して危険な場所へ探しに行くことは避けるべきです。

帰宅ルールも話し合っておこう

大地震が発生した場合、多くの人が「すぐに家へ帰ろう」と考えます。

しかし、災害によって道路が通行できなくなったり、交通機関が停止したりすることがあります。

また、一斉に帰宅者が発生すると、道路の混雑や二次災害の危険も高まります。

そのため、

といったルールを家族で話し合っておくことが重要です。

特に首都直下地震のような大規模災害では、「むやみに帰宅しない」ことが推奨されています。

家族会議を一度開いてみよう

ここまで紹介した内容は、どれも難しいことではありません。

しかし、災害発生後に決めようとしても、冷静に話し合うことはできません。

だからこそ、平常時の準備が重要です。

まずは一度、家族で10分でも良いので話し合う時間を作ってみましょう。

例えば、

などを確認するだけでも大きな備えになります。

安否確認は家族全員で準備するもの

安否確認は、一人だけが準備していても十分ではありません。

家族全員が同じルールを理解し、同じ行動を取れるようにしておくことが大切です。

災害時に本当に役立つのは、高価な防災グッズだけではありません。

「もしもの時はこうする」という家族の約束も、立派な防災対策です。

次章では、保育園や学校、学童、習い事などに通う子どもの安否確認について詳しく解説します。子どもが保護者と離れているときに災害が発生した場合、どのように行動すべきなのかを見ていきましょう。

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第8章 子どもの安否確認

災害時に最も心配なのは子どもの安否

災害が発生したとき、多くの保護者が真っ先に気にするのが子どもの安全です。

仕事中に地震が発生した場合、

と不安になるのは当然のことです。

しかし、災害時には電話がつながらず、学校や保育園へ連絡できないこともあります。また、交通機関の停止や道路の混雑によって、すぐに迎えに行けない場合もあります。

だからこそ、子どもの安否確認については、家庭と施設の両方で事前に備えておくことが重要です。

保育園・幼稚園の安否確認

保育園や幼稚園では、多くの場合、災害時の引き渡しルールが定められています。

大規模地震が発生した場合、施設側は子どもの安全を確保したうえで、保護者への引き渡しを行います。

そのため、保護者はまず施設から配布されている防災マニュアルや引き渡しルールを確認しておきましょう。

特に確認しておきたいのは次の項目です。

災害時には普段通りの連絡が取れないこともあるため、「迎えに行けば必ず会える」という前提で行動することも大切です。

小学校の安否確認

小学校では、震度や被害状況に応じて学校待機となる場合があります。

多くの自治体では、大規模地震が発生した場合、保護者が迎えに来るまで児童を学校で保護することになっています。

そのため、災害発生直後に無理に学校へ向かう必要はありません。

まずは学校の防災計画や引き渡しルールを確認し、どのような対応が行われるのかを把握しておきましょう。

また、子どもにも次のルールを伝えておくことが大切です。

中学生・高校生の安否確認

中学生や高校生になると、一人で行動する機会が増えます。

また、スマートフォンを持っている場合も多いため、保護者は「連絡が取れるだろう」と考えがちです。

しかし、災害時には通信障害やバッテリー切れによって連絡できなくなることがあります。

そのため、

といった行動ルールを決めておきましょう。

また、現在地を共有する方法についても家族で確認しておくと安心です。

学童保育の安否確認

共働き家庭では、放課後に学童保育を利用している子どもも多いでしょう。

学童保育も保育園や学校と同様に、災害時の引き渡しルールが定められていることが一般的です。

しかし、保育園や学校ほど保護者がルールを把握していないケースも少なくありません。

そのため、

を確認しておくことが重要です。

子ども自身にも、「災害時は学童の先生の指示に従う」ことを伝えておきましょう。

習い事や塾のときはどうする?

意外と見落とされがちなのが、習い事や塾の時間帯です。

スポーツクラブ、スイミングスクール、学習塾、ピアノ教室など、子どもが自宅や学校以外の場所にいる可能性は少なくありません。

そのため、

を確認しておくことが大切です。

また、子ども自身にも、

  1. 災害が起きたら施設の先生の指示に従う

ということを伝えておきましょう。

子どもに教えておきたい3つのこと

子どもの安否確認で最も大切なのは、保護者だけが準備するのではなく、子ども自身にも行動を教えておくことです。

最低限、次の3つは伝えておきましょう。

① 自分の命を守ることを最優先にする

まずは身の安全を確保することが最優先です。

保護者へ連絡することよりも、自分の安全を守ることを優先するよう伝えましょう。

② 先生や施設職員の指示に従う

保育園、学校、学童、習い事先では、職員が安全確保のための対応を行います。

勝手な行動を取らず、指示に従うことが大切です。

③ 連絡が取れなくても慌てない

災害時には電話がつながらないことがあります。

しかし、それは異常なことではありません。

事前に決めたルールに従って行動することを教えておきましょう。

子どもの安否確認は「施設との連携」が重要

子どもの安否確認では、家庭内のルールだけでなく、保育園や学校、学童、習い事先との連携も欠かせません。

実際の災害では、「どこへ迎えに行けばよいか分からない」「引き渡しルールを知らなかった」というケースも発生しています。

だからこそ、平常時から施設の防災対応を確認し、家族で共有しておくことが重要です。

子どもの安全を守るためには、「家庭」「子ども本人」「施設」の三者が同じ認識を持っていることが理想です。

次章では、一人暮らしの高齢者や遠距離介護など、高齢者の安否確認について詳しく解説します。

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第9章 高齢者の安否確認

高齢者の安否確認が難しい理由

災害時の安否確認において、特に注意が必要なのが高齢者です。

子どもの場合は学校や保育園など一定の場所にいることが多い一方、高齢者は一人暮らしをしていたり、持病を抱えていたりする場合があります。

また、スマートフォンやSNSに慣れていない人も少なくありません。

そのため、

といった状況が発生しやすくなります。

実際に大規模災害では、高齢者の安否確認に時間を要するケースが数多く報告されています。

だからこそ、高齢者がいる家庭では、より具体的な安否確認の準備が必要になります。

一人暮らしの高齢者の場合

高齢者の安否確認で最も心配なのが、一人暮らしの場合です。

家族と同居していれば比較的状況を把握しやすいですが、一人暮らしの場合は安否確認そのものが難しくなります。

特に離れて暮らしている場合は、

をすぐに確認できないことがあります。

そのため、

といった準備が重要です。

また、地域の民生委員や自治会などとのつながりがある場合は、その情報も把握しておくと安心です。

老老介護世帯は特に注意が必要

近年増えているのが、70代や80代の高齢者同士が介護を行う「老老介護」の世帯です。

このような世帯では、災害時に支援が必要になる可能性が高くなります。

例えば、

といった課題があります。

また、介護している側も高齢であるため、災害時に十分な対応ができない場合があります。

そのため、家族や親族は

  1. 連絡が取れなくなったらどうするか

を事前に決めておくことが重要です。

必要に応じて、近隣住民や地域包括支援センターなどと連携しておくことも有効です。

遠距離介護では事前準備が重要

親が地方に住み、子どもが都市部で暮らしている家庭も少なくありません。

このような遠距離介護では、災害発生後すぐに駆けつけることが難しい場合があります。

また、大規模災害では交通機関の停止や道路の寸断によって、数日間移動できないこともあります。

そのため、

といった準備が必要です。

遠距離介護では、

  1. 自分が行けば何とかなる

ではなく、

  1. 行けない場合もある

という前提で考えることが大切です。

見守りサービスの活用も有効

近年では、高齢者向けの見守りサービスも充実しています。

例えば、

などがあります。

こうしたサービスを利用することで、離れて暮らす家族でも一定の状況を把握しやすくなります。

もちろん、見守りサービスだけで災害対策が完結するわけではありません。

しかし、高齢者本人と家族双方の安心につながるため、有効な選択肢の一つといえるでしょう。

高齢者には複数の連絡手段を用意する

高齢者の安否確認では、連絡手段を一つに限定しないことが重要です。

例えば、

など、複数の方法を利用できるようにしておきましょう。

また、家族は「高齢だからLINEは使えないだろう」と決めつけないことも大切です。

実際には、日常的にLINEを利用している高齢者も増えています。

一方で、スマートフォンを使い慣れていない場合は、171や固定電話を中心に考えた方がよい場合もあります。

大切なのは、その人に合った方法を選ぶことです。

普段からのつながりが最大の防災対策

高齢者の安否確認について考えるとき、最も重要なのは特別な技術やサービスではありません。

普段からのコミュニケーションです。

日頃から連絡を取り合い、

などを共有しておけば、災害時にも落ち着いて対応できます。

反対に、普段ほとんど連絡を取っていない場合は、災害時になって初めて困ることになります。

防災は非常食や備蓄だけではありません。

家族とのつながりを維持することも、重要な防災対策の一つなのです。

高齢者の安否確認は地域とのつながりも大切

高齢者の安否確認では、家族だけでなく地域の力も重要になります。

自治会、町会、民生委員、近所の知人など、地域とのつながりがあることで安否確認がスムーズになる場合があります。

実際の災害でも、近隣住民の声かけによって高齢者の安全が確認された事例は数多くあります。

高齢者本人だけでなく家族も、「誰が近くにいるのか」を把握しておくと安心です。

次章では、東日本大震災や熊本地震、能登半島地震などで実際に発生した安否確認の失敗事例について紹介します。過去の災害から学ぶことで、より実践的な備えにつなげていきましょう。

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第10章 実際の災害で起きた安否確認の失敗事例

災害時の安否確認はなぜ失敗するのか

ここまで、安否確認の方法や備えについて解説してきました。

しかし、どれだけ便利な連絡手段があっても、事前の準備がなければ十分に機能しないことがあります。

実際に過去の大規模災害では、

といった理由で、多くの人が不安な時間を過ごしました。

ここでは、実際の災害で見られた安否確認の失敗事例から、私たちが学ぶべき教訓を紹介します。

東日本大震災で起きた安否確認の混乱

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、未曾有の被害とともに大規模な通信障害が発生しました。

発災直後、多くの人が家族や親戚へ電話をかけましたが、通信規制や回線の混雑によってほとんどつながらない状況となりました。

ある会社員は、沿岸部に住む両親へ何十回も電話をかけ続けましたが連絡が取れず、数日間にわたって安否が分からない状態が続いたといいます。

また、家族の避難先が分からず、避難所を何か所も探し回ったという事例もありました。

この災害で明らかになったのは、「電話だけに頼ることの危険性」です。

一方で、災害用伝言ダイヤル171や災害用伝言板、SNSを利用して比較的早く安否確認できた人もいました。

東日本大震災は、複数の連絡手段を準備しておくことの重要性を社会全体に教えた災害だったといえるでしょう。

熊本地震で見られた避難先不明の問題

2016年の熊本地震では、多くの住民が自宅以外の場所へ避難しました。

避難所だけでなく、

など、さまざまな場所で避難生活が行われました。

その結果、

  1. 無事なのは分かったが、どこにいるのか分からない

という問題が発生しました。

家族同士で避難先のルールを決めていなかったため、互いを探し回ることになったケースも少なくありません。

また、余震への不安から頻繁に避難場所を変える人もおり、安否確認をさらに難しくしました。

熊本地震の教訓は、「どこへ避難するか」を家族で共有しておくことの重要性です。

安否確認は無事かどうかだけでなく、「どこにいるか」を伝えることも同じくらい大切なのです。

能登半島地震で起きた通信と移動の問題

2024年1月に発生した能登半島地震では、広範囲で停電や通信障害が発生しました。

さらに、道路の寸断によって現地へ向かうことも難しい状況となりました。

被災地外に住む家族は、

という不安を抱えることになりました。

実際には無事で避難していたにもかかわらず、通信手段が限られていたため、長時間安否確認ができなかったケースもあります。

また、高齢の親が一人暮らしをしている家庭では、安否確認に特に苦労したという声も聞かれました。

能登半島地震は、通信手段だけでなく、地域とのつながりや日頃の備えの重要性を改めて示した災害でした。

共通する失敗① 電話だけに頼っていた

過去の災害で最も多く見られる失敗が、電話だけに頼っていたケースです。

普段は問題なく利用できる電話ですが、災害時には最もつながりにくい手段の一つになります。

そのため、

  1. 電話がつながらない
  2. 何度も電話をかけ続ける
  3. さらに不安になる

という悪循環に陥ってしまいます。

LINEやSMS、171、災害用伝言板など、複数の連絡手段を知っておくだけでも状況は大きく変わります。

共通する失敗② 家族でルールを決めていなかった

災害時には、連絡が取れないことも想定しなければなりません。

しかし、多くの家庭では、

が決まっていません。

その結果、家族全員が別々に行動し、互いを探し回ることになります。

安否確認の成功は、災害発生後ではなく、災害発生前の準備で決まるといっても過言ではありません。

共通する失敗③ 「連絡が取れない=危険」と思い込んでしまう

災害時には、

という状況がよく発生します。

しかし、それだけで相手に何かあったと判断するのは危険です。

実際には、

というケースが数多くあります。

もちろん心配する気持ちは自然なことですが、連絡が取れないことだけで最悪の事態を想像してしまうと、冷静な判断ができなくなります。

過去の災害から学ぶべきこと

東日本大震災、熊本地震、能登半島地震。

災害の種類や規模は異なりますが、安否確認に関する課題には共通点があります。

それは、

ということです。

安否確認は、災害が起きてから考えるものではありません。

平常時から準備しておくことで、家族の不安を大きく減らすことができます。

次章では、今日からすぐに始められる安否確認の備えについて紹介します。特別な道具や費用をかけなくてもできる対策を確認していきましょう。

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第11章 今日からできる安否確認の備え

災害への備えは難しいことではない

ここまで、安否確認の方法や過去の災害事例について解説してきました。

「いろいろ準備しなければならないのは分かったけれど、何から始めればいいのか分からない」

そう感じた方もいるかもしれません。

しかし、安否確認の備えは決して難しいものではありません。

高価な防災グッズを購入しなくても、今日から始められることがたくさんあります。

大切なのは、完璧を目指すことではなく、まず一歩踏み出すことです。

ここでは、今すぐ実践できる安否確認の備えを紹介します。

家族で10分だけ話し合う

最も効果が高く、最もお金がかからない防災対策が家族会議です。

安否確認に関する多くの問題は、事前に話し合っておくだけで解決できます。

例えば、

などを確認するだけでも十分です。

時間にすると10分程度かもしれません。

しかし、この10分が災害時の大きな安心につながります。

まずは家族で一度話し合う時間を作ってみましょう。

家族専用のLINEグループを作る

スマートフォンを利用している家庭であれば、家族専用のLINEグループを作っておくことをおすすめします。

災害時には、一人ひとりへ個別に連絡するよりも、グループへ投稿する方が効率的です。

また、

などを家族全員で共有できます。

すでに家族グループがある場合は、

  1. 災害時にはここへ報告する

というルールを決めておくだけでも十分です。

モバイルバッテリーを準備する

災害時に意外と多いのが、スマートフォンの充電切れです。

どれほど便利な連絡手段があっても、バッテリーが切れてしまえば利用できません。

そのため、モバイルバッテリーは安否確認のための重要な防災用品といえます。

できれば、

ことをおすすめします。

また、家族全員が利用できるよう、保管場所も共有しておきましょう。

災害用伝言ダイヤル171を体験してみる

171は知っているだけでは意味がありません。

実際に使ったことがなければ、災害時に戸惑ってしまう可能性があります。

幸い、171には体験利用日があります。

家族で一度試してみるだけでも、

という発見があります。

防災訓練のつもりで、ぜひ一度利用してみましょう。

避難所を確認しておく

災害時には、

  1. どこへ避難したのか分からない

ことが安否確認を難しくする原因になります。

そのため、自宅周辺の避難所を確認しておくことも重要です。

自治体のハザードマップや防災マップを確認し、

などを把握しておきましょう。

また、

  1. 連絡が取れない場合はまず指定避難所へ向かう

といったルールを決めておくと、家族が再会しやすくなります。

安否確認の備えは家族を守る備え

災害はいつ発生するか分かりません。

そして、災害が発生した瞬間に最も気になるのは、家族や大切な人の安全です。

しかし、その時になってから準備を始めても間に合わないことがほとんどです。

だからこそ、

といった小さな準備が大切になります。

どれも今日から始められることばかりです。

安否確認の備えは、自分自身を守るためだけではありません。

大切な家族の不安を減らし、再会できる可能性を高めるための備えでもあります。

次の「よくある質問」では、災害時の安否確認について多くの人が疑問に感じるポイントをQ&A形式で解説します。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 災害時の安否確認はLINEだけで大丈夫ですか?

A. LINEは非常に便利な安否確認手段ですが、LINEだけに頼るのはおすすめできません。

停電によるバッテリー切れや通信障害が発生した場合、利用できなくなる可能性があります。

そのため、

など複数の手段を準備しておくことが大切です。

Q2. 災害時に電話はいつ頃つながるようになりますか?

A. 被害状況によって異なります。

単なる通信混雑であれば数時間程度で改善する場合もありますが、基地局の被災や停電が発生している場合は数日以上かかることもあります。

電話がつながらないことを前提に準備しておきましょう。

Q3. 電話とLINEではどちらがつながりやすいですか?

A. 一般的にはLINEなどのデータ通信の方が利用しやすい場合があります。

ただし、災害の状況によって異なるため、どちらも絶対ではありません。

Q4. SMSは安否確認に使えますか?

A. はい。

SMSは短い文章を送るサービスで、電話より少ない通信量で利用できます。

電話がつながらない場合でも送信できることがあります。

Q5. 災害用伝言ダイヤル171は無料ですか?

A. 伝言の録音や再生にかかる通話料は必要ですが、サービス利用料は基本的に無料です。

詳細は利用する通信事業者の案内を確認してください。

Q6. 171はスマートフォンからも利用できますか?

A. 利用できます。

固定電話だけでなく、携帯電話やスマートフォンからも利用可能です。

Q7. 171はいつ利用できますか?

A. 大規模災害発生時に開設されます。

また、毎月1日・15日や防災週間などには体験利用が可能です。

Q8. 災害用伝言板とは何ですか?

A. 携帯電話会社が提供する安否確認サービスです。

電話番号をもとに安否情報を登録・確認できます。

Q9. 災害用伝言板は無料ですか?

A. 基本的には無料で利用できます。

ただし、通信料が発生する場合があります。

Q10. 子どもと連絡が取れないときはどうすればよいですか?

A. まずは学校や保育園の引き渡しルールを思い出してください。

多くの施設では安全確保後に保護者へ引き渡しを行います。

慌てて移動する前に情報収集を行いましょう。

Q11. 小学生にスマートフォンを持たせた方がよいですか?

A. 家庭の判断によります。

ただし、スマートフォンがなくても学校の引き渡しルールを理解していれば対応できる場合が多くあります。

Q12. 高齢の親がLINEを使えません。どうすればよいですか?

A. 無理にLINEへ統一する必要はありません。

固定電話、携帯電話、171など、本人が使いやすい方法を選びましょう。

Q13. 一人暮らしの親が心配です。

A. 避難場所や近隣の知人、親族の連絡先を事前に確認しておきましょう。

見守りサービスの利用も有効です。

Q14. 遠方に住む家族とはどう連絡を取ればよいですか?

A. LINEやSMSに加えて、171や災害用伝言板も活用しましょう。

被災地外の親族を連絡窓口にする方法もおすすめです。

Q15. 家族グループLINEは必要ですか?

A. 非常に有効です。

一度の投稿で家族全員へ状況を共有できます。

Q16. 家族グループで何を報告すればよいですか?

A. 最低限、次の内容を共有しましょう。

Q17. 「無事です」だけ送れば十分ですか?

A. 十分ではありません。

可能であれば避難先や現在地も伝えましょう。

Q18. スマートフォンの充電が切れたらどうすればよいですか?

A. モバイルバッテリーを備えておくことが重要です。

避難所や自治体の充電支援を利用できる場合もあります。

Q19. モバイルバッテリーはどれくらい必要ですか?

A. スマートフォンを2回程度充電できる容量があると安心です。

定期的に充電状態を確認しましょう。

Q20. 地震発生直後に家族を迎えに行くべきですか?

A. 状況によります。

学校や保育園では安全確保のため待機している場合があります。

まずは施設のルールを確認しましょう。

Q21. 避難所へ行けば家族を探せますか?

A. 必ずしも避難所にいるとは限りません。

車中泊や親戚宅へ避難している可能性もあります。

Q22. SNSで安否確認しても大丈夫ですか?

A. 有効な手段ですが、個人情報の公開には注意が必要です。

また、デマ情報には十分注意しましょう。

Q23. Facebookの安否確認機能とは何ですか?

A. 災害発生時に「無事です」と登録できる機能です。

家族や友人が安否を確認できます。

Q24. Googleマップの位置情報共有は役立ちますか?

A. はい。

普段から設定しておけば、おおよその居場所を把握できる場合があります。

Q25. 災害時にWi-Fiは使えますか?

A. 停電や通信障害の影響を受ける可能性があります。

使えなくなることも想定しておきましょう。

Q26. 安否確認カードは必要ですか?

A. 必須ではありませんが、有効です。

家族の連絡先や避難場所を記載しておくと役立ちます。

Q27. 防災アプリは入れておいた方が良いですか?

A. おすすめです。

防災情報や避難情報の確認に役立ちます。

Q28. 災害時に最初に何をすべきですか?

A. まずは自分自身の安全確保です。

安否確認は安全が確保されてから行いましょう。

Q29. 連絡が取れないときはどう考えればよいですか?

A. 「連絡が取れない=危険」とは限りません。

通信障害や避難行動中の可能性もあります。

冷静に複数の方法を試しましょう。

Q30. 安否確認で最も大切なことは何ですか?

A. 事前の準備です。

連絡手段を知ることも重要ですが、それ以上に、

といった平常時の備えが、災害時の安心につながります。

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まとめ

災害が発生したとき、多くの人が最初に気にするのは家族や大切な人の無事です。

しかし、東日本大震災や熊本地震、能登半島地震でも分かったように、災害時には電話がつながらなくなることがあります。

そのため、

ことが重要です。

特に大切なのは、災害が起きてから考えるのではなく、平常時から準備しておくことです。

家族で10分話し合うだけでも、防災力は大きく向上します。

この記事を読んだ今日をきっかけに、

など、一つでも行動に移してみてください。

安否確認の備えは、自分自身だけでなく、大切な家族を守るための備えでもあります。

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