高潮とは?津波との違い・起こる原因・避難タイミングをわかりやすく解説
高潮は、台風や発達した低気圧の影響で海面がふだんより高くなり、沿岸部や河口、低地で浸水を起こす災害です。「高潮とは何か」「津波と何が違うのか」「警報が出たらいつ避難すればよいのか」が分かりにくいと、台風接近時の判断が遅れてしまいます。
この記事では、高潮の意味、津波との違い、起こる原因、高潮警報・注意報、避難タイミング、ハザードマップの見方、家庭の備えを整理します。実際の災害時は、気象庁、自治体、海上保安庁、消防・警察などの公式情報を確認し、危険な場所へ様子を見に行かないでください。
参考にした主な公的情報
高潮とは
高潮とは、台風や発達した低気圧により、海面の高さが通常より大きく上昇する現象です。海面が高くなった状態に大きな波や満潮が重なると、海水が堤防や護岸を越えたり、河口から市街地へ入り込んだりして、沿岸部で浸水が起こります。
簡単にいうと海面が押し上げられる現象
高潮を簡単にいうと、「台風や低気圧の力で海面が押し上げられる現象」です。気圧が低いと海面が吸い上げられ、強い風が海水を岸へ吹き寄せます。そこに満潮や高波が重なると、海面がさらに高くなり、浸水の危険が高まります。
台風の時に起こりやすい
高潮は台風の接近・上陸時に特に注意が必要です。台風の中心付近は気圧が低く、周囲では強い風が吹きます。台風の進路、速度、風向き、満潮時刻、湾の形、地形によって、どこで海面が上がりやすいかが変わります。
海だけでなく川沿いも危険
高潮は海岸だけの問題ではありません。河口部では、海面が高くなることで川の水が海へ流れにくくなり、川沿いの低地で浸水が起こることがあります。大雨による洪水と高潮が重なると、排水が追いつかず、住宅地や道路が浸水しやすくなります。
津波とは原因が違う
高潮と津波はどちらも海水が陸地へ押し寄せる災害ですが、原因が違います。高潮は主に台風や低気圧、津波は主に地震や海底地すべり、火山活動などによって起こります。この違いを知ると、避難のタイミングや注意する情報も整理しやすくなります。

高潮と津波の違い
高潮と津波は、どちらも沿岸部に大きな被害をもたらします。しかし、発生の仕組み、到達の速さ、継続時間、避難情報が異なります。「海の水が来る」という点だけで同じに考えると、判断を誤ることがあります。
原因の違い
高潮は、台風や低気圧による気圧低下と強風で海面が上昇する現象です。津波は、地震などで海底が大きく変動し、海水全体が長い波として伝わる現象です。つまり、高潮は気象災害、津波は主に地震災害として考えると理解しやすくなります。
時間の違い
高潮は、台風の接近、満潮時刻、風向きなどから、ある程度前もって危険が予想されることがあります。津波は、地震発生後に短時間で沿岸へ到達することがあり、すぐ避難が必要です。高潮では台風情報を見ながら早めに避難、津波では揺れや津波警報を受けてすぐ高い場所へ避難、という違いがあります。
波の性質の違い
高潮では、海面全体が高くなった状態に高波が重なります。津波は波長が非常に長く、海水の大きなかたまりが押し寄せるため、見た目以上に強い力があります。どちらも危険ですが、津波は小さく見えても流れが強く、繰り返し押し寄せる点に注意が必要です。
避難情報の違い
高潮では、高潮注意報・高潮警報、暴風警報、大雨警報、自治体の避難情報を確認します。津波では、津波注意報、津波警報、大津波警報、自治体の避難指示を確認します。情報の名前が違うため、自分の地域で何が発表されたら避難するかを平時に決めておきましょう。

高潮が起こる原因
高潮は、主に「吸い上げ効果」と「吹き寄せ効果」によって起こります。さらに、満潮、湾の形、地形、河川の水位、高波が重なることで、被害が大きくなります。
吸い上げ効果
台風や低気圧では中心付近の気圧が低くなります。気圧が低いと、海面を押さえる空気の力が弱くなり、海面が持ち上がります。これを吸い上げ効果といいます。気圧が大きく下がる台風ほど、海面上昇に注意が必要です。
吹き寄せ効果
強い風が海から陸へ向かって吹くと、海水が岸へ押し寄せます。これを吹き寄せ効果といいます。湾の奥や河口では海水が逃げにくく、海面が高くなりやすいことがあります。風向きと地形の組み合わせで危険な場所が変わります。
満潮と重なる危険
高潮は、満潮時刻と重なると危険が高まります。もともと潮位が高い時間帯に、台風による吸い上げや吹き寄せが加わるためです。自治体や気象情報では、潮位や満潮時刻も確認しましょう。
高波や大雨との複合災害
高潮時には高波も起こりやすく、波が堤防を越えることがあります。また、大雨で川の水位が上がっていると、海へ水が流れにくくなります。高潮、大雨、洪水、内水氾濫が重なると、浸水が広がることがあります。

高潮と一緒に知りたい用語
高潮を理解するには、潮位、満潮、干潮、高波、越波、内水氾濫といった言葉も押さえておくと役立ちます。ニュースで複数の言葉が同時に出るため、意味を混同しないようにしましょう。
潮位
潮位は、海面の高さを表す言葉です。台風や低気圧で潮位が平常より高くなると、高潮の危険が高まります。気象情報では、予想される潮位や警報級の可能性が示されることがあります。
満潮と干潮
満潮は潮位が高くなる時間帯、干潮は潮位が低くなる時間帯です。高潮が満潮と重なると、海面がさらに高くなり、堤防や護岸を越える危険が高まります。台風時は満潮時刻を確認しておくことが重要です。
高波と越波
高波は、強風などで海の波が高くなる現象です。越波は、波が堤防や護岸を越えることです。高潮で海面が高い状態に高波が重なると、ふだんは越えない波が道路や住宅地へ入り込むことがあります。
内水氾濫
内水氾濫は、雨水が排水しきれず、街の中にたまって浸水する現象です。高潮で海や川の水位が高いと、雨水が流れにくくなり、内水氾濫が起こりやすくなることがあります。高潮と大雨は別々ではなく、重なる災害として考えましょう。

過去の高潮災害から学ぶこと
高潮は、過去に日本各地で大きな被害を出してきました。過去の災害を知る目的は、怖がることではなく、どのような条件が重なると危険になるのかを学ぶことです。
湾の奥で被害が大きくなりやすい
湾の奥では、風で押し寄せられた海水が逃げにくく、潮位が上がりやすいことがあります。過去の大きな高潮災害でも、湾奥部や低地で甚大な浸水が発生しました。湾沿いの都市部では、港湾、運河、河口、地下空間が複雑につながっているため、ハザードマップで細かく確認しましょう。
都市部でも高潮は起こる
高潮は地方の海沿いだけの災害ではありません。東京湾、大阪湾、伊勢湾など、大都市圏の湾岸部でも高潮リスクがあります。埋立地、地下街、地下鉄、物流施設、オフィス街、住宅地が海や河口に近い場所では、台風時の避難と交通への影響を考えておく必要があります。
堤防があっても油断しない
堤防や水門、排水施設は被害を減らす重要な設備です。しかし、堤防があるから絶対安全というわけではありません。想定を超える潮位、越波、内水氾濫、排水能力の限界、停電が重なる場合があります。施設に頼り切らず、避難情報を確認しましょう。
避難の遅れが被害を大きくする
高潮は、台風の接近により事前に危険が予想されることがあります。それでも、「まだ浸水していない」「海から少し離れている」「車で逃げられる」と考えて避難が遅れることがあります。過去の災害から学ぶべきことは、危険が見えてからでは遅い場合があるという点です。

高潮で起こる被害
高潮の被害は、海岸近くの浸水だけではありません。住宅、道路、地下空間、車、電気設備、港湾施設、河川沿いの地域にも影響します。浸水深が浅くても、流れや波、漂流物があると危険です。
住宅や店舗の浸水
海水が住宅や店舗に入ると、床、壁、家電、車、配電盤、給湯器などが被害を受けます。海水は塩分を含むため、金属や電気設備への影響も大きくなります。浸水後に電気機器を使う場合は、自己判断せず専門業者や電力会社の案内を確認してください。
道路や地下空間の危険
高潮や大雨で道路が冠水すると、側溝や段差が見えません。車でも、アンダーパスや低い道路で動けなくなることがあります。地下街、地下駐車場、地下鉄出入口、地下室は水が流れ込みやすく、短時間で危険になる場合があります。
避難経路が使えなくなる
浸水が始まると、避難所までの道が通れなくなることがあります。沿岸部や河口では、橋、低い道路、海沿いの道、地下道が危険になります。避難は、浸水が始まる前、風雨が強くなる前に行うことが重要です。
停電や断水が重なる
台風による高潮では、強風による停電、断水、通信障害も重なることがあります。避難が必要ない場合でも、停電時のライト、モバイルバッテリー、飲料水、携帯トイレを用意しておきましょう。

高潮警報・注意報と避難情報
高潮に備えるには、気象庁の高潮注意報・高潮警報と、市町村が出す避難情報を分けて理解することが大切です。気象情報は危険度を知らせ、避難情報は住民に行動を促します。
高潮注意報
高潮注意報は、高潮による災害が起こるおそれがある場合に発表されます。注意報の段階でも、沿岸部や低地に住む人はハザードマップ、避難先、満潮時刻を確認し、避難準備を始めましょう。
高潮警報
高潮警報は、高潮による重大な災害が起こるおそれがある場合に発表されます。高潮警報が出ている地域で浸水想定区域にいる場合は、自治体の避難情報を確認し、危険な場所から早めに離れることが重要です。
自治体の避難情報
市町村は、気象情報や河川・潮位の状況をもとに、高齢者等避難、避難指示、緊急安全確保を発令することがあります。高齢者等避難が出たら避難に時間がかかる人は行動開始、避難指示が出たら危険な場所から全員避難が基本です。
警戒レベル5を待たない
緊急安全確保にあたる警戒レベル5は、すでに災害が発生または切迫している段階です。この段階で安全に避難できるとは限りません。高潮では、風雨や浸水が強まる前に避難することが大切です。

高潮ハザードマップの見方
高潮ハザードマップは、高潮で浸水が想定される区域や浸水深、避難場所などを示す地図です。海沿いだけでなく、河口、低地、埋立地、地下空間がある地域では必ず確認しておきましょう。
自宅だけでなく避難経路を見る
自宅が浸水想定区域に入っているかだけでなく、避難所までの道が浸水しないかを確認します。低い道路、アンダーパス、橋、地下道、海沿いの道は、台風時に通れなくなることがあります。
浸水深を見る
ハザードマップでは、想定される浸水深が色分けされています。浸水深が浅く見えても、流れ、波、漂流物、夜間、強風があると危険です。車で通れるか、歩けるかを自己判断せず、危険な場所は避けましょう。
避難場所の高さを確認する
高潮では、低い避難所や海に近い施設が適切でない場合があります。自治体が指定する避難場所、津波避難ビル、高台、区域外の親族宅など、災害の種類に合った避難先を確認してください。
紙とスマホで保存する
災害時は通信障害や停電で地図を見られないことがあります。高潮ハザードマップはスマホに保存し、必要な部分を印刷して非常持ち出し袋に入れておくと安心です。

避難先の選び方
高潮の避難では、どこへ避難するかを平時に決めておくことが重要です。避難所へ行くことだけが避難ではありません。浸水想定区域の外、高い場所、台風の風雨を避けられる場所を複数用意しておくと、行動しやすくなります。
指定避難所
自治体が指定する避難所は基本的な避難先です。ただし、高潮や洪水では、すべての避難所が同じように安全とは限りません。高潮時に開設される避難所か、何階以上へ避難できるか、ペット対応があるかを確認しましょう。
親族宅・知人宅
浸水想定区域外の親族宅や知人宅は、早めの自主避難先として有効です。避難所の混雑を避けられ、乳幼児や高齢者、ペットがいる家庭では過ごしやすい場合があります。台風の前に連絡し、受け入れ可能か確認しておきましょう。
ホテルや安全な施設
台風の接近が事前に分かる場合、区域外のホテルや安全な施設へ早めに移動する方法もあります。特に、夜間に台風が最接近する、満潮と重なる、家族に要配慮者がいる場合は、早めの移動が安全につながります。
垂直避難の条件
建物の上階へ移動する垂直避難は、外へ出ることがかえって危険な場合の選択肢です。ただし、建物が浸水に耐えられるか、上階へ移動できるか、停電や断水に耐えられるかを考える必要があります。最初から垂直避難に頼るのではなく、可能なら早めの立ち退き避難を優先します。

高潮の避難タイミング
高潮では、避難の遅れが大きな危険につながります。台風が近づくと風雨が強まり、外へ出ること自体が危険になります。浸水が始まってから避難するのではなく、台風接近前の明るいうちに動くことが基本です。
高齢者等避難で動く人
高齢者、障害がある人、乳幼児、妊婦、病気の人、ペット連れ、車がない家庭など、避難に時間がかかる人は、高齢者等避難の段階で行動を始めます。沿岸部や低地では、雨風が強くなる前の移動が大切です。
避難指示で危険な場所から離れる
避難指示が出た場合、高潮浸水想定区域や海・河口に近い低地にいる人は、危険な場所から避難します。近所が動いていない、まだ浸水していない、車なら大丈夫と考えて待つのは危険です。
夜間・暴風前に避難する
夜間の避難は、道路冠水、飛来物、強風、停電で危険が増します。台風の最接近が夜になる予報なら、夕方までに避難を済ませることを考えましょう。親族宅やホテルへの早めの自主避難も選択肢です。
避難できない時の次善策
すでに外が危険な場合は、無理に移動せず、建物の上階、海や川から離れた部屋、崖や窓から離れた場所へ移動します。ただし、これは避難が間に合わない場合の次善策です。基本は早めの立ち退き避難です。

家庭で備えるもの
高潮への備えは、台風対策、浸水対策、避難準備、停電対策を組み合わせます。海水や雨水が入る可能性がある地域では、家財や電気設備を高い場所へ移すことも考えます。
非常持ち出し袋
水、食料、常備薬、保険証や身分証のコピー、現金、スマホ充電器、モバイルバッテリー、ライト、雨具、タオル、着替え、携帯トイレ、マスク、ウェットティッシュを用意します。大雨時は両手が空くレインコートと滑りにくい靴が重要です。
浸水前の家の準備
可能なら、家電、貴重品、重要書類、写真、薬、車を高い場所へ移します。屋外の植木鉢や物干し、飛ばされやすいものを片付けます。雨戸やシャッターを閉め、排水口や側溝は雨が強くなる前に確認します。
停電・断水対策
台風時は停電や断水が起こることがあります。ライト、乾電池、ラジオ、モバイルバッテリー、飲料水、携帯トイレ、冷却用品、常温で食べられる食品を用意しましょう。停電中は冷蔵庫の開閉を減らします。
車の移動と保険
車は浸水すると大きな損害になります。早めに安全な高台や立体駐車場へ移動できるか確認しましょう。ただし、台風接近後の車移動は危険です。車両保険や火災保険の水災補償も、平時に確認しておくと安心です。

高潮後の片付けと安全確認
高潮や浸水の後は、早く片付けたい気持ちになりますが、感電、ガラス片、汚水、倒壊、カビ、熱中症などの危険があります。自宅へ戻る時は、自治体の情報を確認し、無理に作業を始めないことが大切です。
電気設備に触らない
浸水した家電、配電盤、コンセント、延長コード、車の電気系統は危険です。水が引いていても、自己判断で電源を入れないでください。電力会社や専門業者の確認を受けるまで、感電や火災に注意します。
海水の浸水は腐食に注意
高潮による浸水は海水を含むことがあり、金属や家電、車、工具、配管に影響します。見た目に乾いても塩分が残る場合があります。片付ける時は手袋、長靴、マスクを使い、傷口が汚水に触れないよう注意してください。
被害写真を残す
保険や公的支援の手続きでは、被害状況の写真が役立つ場合があります。安全に撮影できる範囲で、建物外観、浸水の高さ、家財、車、設備の被害を記録します。ただし、危険な場所へ撮影のために入ることは避けてください。
衛生と体調管理
浸水後の片付けは体力を使います。暑い時期は熱中症、寒い時期は低体温に注意します。汚れた水に触れた後は手洗いをし、消毒、換気、乾燥を行います。体調が悪い場合は無理をせず、自治体の支援情報を確認してください。

保険と家計で確認すること
高潮による住宅被害は、火災保険の水災補償が関係する場合があります。ただし、契約内容、損害の程度、免責、補償対象によって扱いが変わります。台風シーズン前に保険証券を確認しておくと安心です。
水災補償の有無
火災保険に水災補償が付いているかを確認します。高潮、洪水、土砂崩れなどがどのように扱われるかは保険会社や契約で異なります。補償を外していると、浸水被害が対象外になる可能性があります。
家財と建物の違い
保険では、建物と家財が分かれていることがあります。建物だけ加入していて家財が対象外、家財の補償額が少ない、車は自動車保険の車両保険で確認が必要、ということもあります。重要書類や家財リストを平時に整理しておきましょう。
車の浸水
高潮や道路冠水で車が浸水した場合、車両保険の契約内容が関係します。水が引いた後でもエンジンをかけると故障が悪化することがあります。自己判断で動かさず、保険会社や整備業者に相談してください。
公的支援も確認する
大規模な浸水被害では、り災証明書、公的支援、災害ごみ、消毒、仮住まいなどの情報が自治体から出ることがあります。保険だけでなく、自治体の生活再建支援情報も確認しましょう。

家庭のチェックリスト
高潮への備えは、難しい専門知識よりも、台風前に確認できる項目を決めておくことが大切です。家族で役割を分け、毎年台風シーズン前に見直しましょう。
場所の確認
自宅が高潮浸水想定区域にあるか、避難所までの道が安全か、近くに海・川・運河・地下道があるかを確認します。職場、学校、保育園、親の家も同じように確認してください。
情報の確認
気象庁、自治体防災アプリ、メール配信、防災行政無線、テレビ、ラジオの確認方法を決めます。満潮時刻、高潮注意報・警報、避難情報を誰が確認するかを家族で共有しましょう。
持ち物の確認
非常持ち出し袋、薬、保険証、現金、スマホ充電器、雨具、着替え、携帯トイレ、乳幼児用品、ペット用品を確認します。避難先で一晩過ごせる最低限の持ち物をまとめておくと、早く動けます。
家の確認
排水口、雨どい、側溝、屋外の飛ばされやすい物、窓、シャッター、車の保管場所を確認します。浸水の可能性がある場合は、重要書類や家電を高い場所へ移す準備をします。

保育園・学校・高齢者施設の備え
高潮の危険がある地域では、家庭だけでなく、保育園、学校、高齢者施設、障害者施設、病院の備えも重要です。利用者や子どもが自力で避難しにくい施設では、早めの判断と連絡体制が欠かせません。
保育園・学校の判断
台風接近時は、休園・休校、早帰り、保護者引き渡し、施設内待機の判断が必要になります。高潮浸水想定区域にある施設では、避難所や高い場所への移動時間も考えます。保護者は、連絡アプリやメールを確認し、無理な迎えで危険な道路へ入らないよう注意してください。
高齢者施設の早めの避難
高齢者施設では、移動に時間がかかり、医療・介護用品も必要です。高齢者等避難の段階で動き始める計画が重要になります。停電、断水、エレベーター停止、薬、酸素、食事、トイレを含めて準備する必要があります。
施設の垂直避難
施設が堅牢で上階があり、外への移動が危険な場合は、垂直避難が選択肢になることがあります。ただし、浸水深、建物の安全性、停電、トイレ、職員体制を考える必要があります。施設単独で判断せず、自治体の計画や避難情報と合わせて準備します。
家族への連絡ルール
保育園や施設では、災害時に家族からの電話が集中すると対応が難しくなります。連絡アプリ、メール、公式サイト、引き渡し場所などを事前に共有し、保護者や家族も訓練時に確認しておきましょう。

沿岸部・河口・低地で注意すること
高潮の危険は、海に面した地域だけではありません。河口、運河沿い、埋立地、ゼロメートル地帯、地下空間がある地域では、台風時の浸水リスクを特に意識する必要があります。
河口では川の水が流れにくくなる
高潮で海面が高くなると、川の水が海へ流れにくくなります。大雨で川の水位が上がっている時は、河口近くの低地で浸水が広がることがあります。洪水ハザードマップと高潮ハザードマップを両方確認しましょう。
地下空間に入らない
地下街、地下駐車場、地下室、地下鉄出入口は、水が流れ込むと短時間で危険になります。浸水の可能性がある時は、地下へ様子を見に行かず、早めに地上の安全な場所へ移動してください。
海岸へ見に行かない
台風時に海の様子や波を見に行くのは非常に危険です。高波、越波、強風、飛来物、道路冠水に巻き込まれるおそれがあります。海岸や河口、堤防には近づかず、ライブカメラや公式情報で確認してください。
避難先を複数持つ
高潮では、指定避難所だけでなく、区域外の親族宅、ホテル、高台の施設、上階避難など複数の選択肢を持つと行動しやすくなります。ペットや乳幼児がいる家庭は、早めの自主避難先を決めておくと安心です。

高潮時にやってはいけないこと
高潮の被害を避けるには、何をするかだけでなく、何をしないかも重要です。台風時は判断力が落ちやすく、少しの確認行動が命に関わる危険につながります。
海や川を見に行かない
高潮や高波の様子を見に海岸、河口、堤防へ行くのは危険です。強風、越波、飛来物、道路冠水に巻き込まれるおそれがあります。状況確認はライブカメラや公式情報で行い、現地へ近づかないでください。
冠水した道路へ入らない
冠水した道路は、水深や流れ、側溝、マンホール、段差が見えません。車でも歩きでも危険です。特に夜間は状況が分かりにくく、避難が遅れるほど危険が増します。
地下へ降りない
地下室や地下駐車場の様子を見に行くのは避けてください。短時間で水が流れ込み、停電で真っ暗になることがあります。浸水のおそれがある時は、早めに地上の安全な場所へ移動します。
SNSだけで判断しない
災害時のSNSには、古い画像や別地域の情報、未確認情報が混ざることがあります。参考にはなりますが、避難判断は自治体、気象庁、国土交通省、消防・警察などの公式情報を優先しましょう。

地域別に見る高潮リスク
高潮の危険は、海に近いかどうかだけで決まりません。湾の奥、河口、埋立地、低地、地下空間がある地域では、海から少し離れていても浸水に注意が必要です。自分の地域の地形を知ることが、避難判断の第一歩になります。
湾の奥
湾の奥では、風で押し寄せられた海水が逃げにくく、潮位が上がりやすいことがあります。伊勢湾台風など、過去の高潮災害でも湾奥部で大きな被害が出た例があります。湾沿いの都市部では、港湾、運河、河口、地下空間が複雑につながっているため、ハザードマップで細かく確認しましょう。
河口部
河口部では、海面が高くなることで川の水が流れにくくなります。台風の大雨で上流から水が流れてきている時に、海側から高潮が押し寄せると、川沿いの低地で浸水が広がることがあります。高潮と洪水の両方のハザードマップを見ることが大切です。
埋立地・ゼロメートル地帯
埋立地や海抜の低い地域では、堤防や水門、排水機場に守られている場合があります。しかし、停電、施設の被害、想定を超える高潮が重なると、広い範囲で浸水するおそれがあります。避難所の場所だけでなく、どの方向へ避難すれば高い場所へ行けるかを確認しましょう。
観光地・港・海沿いの施設
港、海水浴場、釣り場、観光施設、海沿いのホテルでは、土地に慣れていない人が多くなります。旅行中に台風が近づいた場合は、宿泊施設や自治体の案内を確認し、海岸へ様子を見に行かないでください。帰宅を急ぐより、暴風や高潮の時間帯を避ける判断が必要になることがあります。

台風接近前からの時系列行動
高潮対策は、台風が近づいてから慌てて始めると遅れることがあります。気象情報で台風の進路が分かり始めた段階から、時間の流れに沿って準備することが大切です。
3日前から2日前
台風の進路、満潮時刻、高潮の可能性、避難所、家族の予定を確認します。沿岸部や低地に住む人は、ハザードマップを見直し、避難先を決めます。車の燃料、モバイルバッテリー、常備薬、水、食料、ペット用品も確認しましょう。
前日
前日には、屋外の物を片付け、排水口や側溝を確認し、非常持ち出し袋を玄関に置きます。家電や重要書類を高い場所へ移せる場合は、浸水前に済ませます。避難に時間がかかる家庭は、親族宅やホテルへの早めの移動を検討します。
当日の午前から夕方
風雨が強まる前に避難判断をします。高齢者等避難や避難指示が出ていなくても、夜に台風が最接近する、満潮と重なる、避難に時間がかかる場合は、自主的な早めの避難を考えてください。暗くなってからの移動は危険です。
最接近中
台風の最接近中は、外へ出ないことが基本です。海や川、港、堤防、地下空間へ様子を見に行かないでください。停電した場合は、ライトやラジオを使い、スマホの電池を温存します。浸水が迫っている場合は、上階など少しでも安全な場所へ移動します。
通過後
台風が通過しても、すぐ安全になるとは限りません。吹き返しの風、高潮の継続、河川の増水、道路冠水、倒木、切れた電線が残っていることがあります。避難先から戻る時は、自治体の情報を確認し、危険な場所へ近づかないでください。

よくある疑問
高潮と津波について、よくある疑問をまとめます。実際の避難判断は、自治体の避難情報と気象庁の情報を優先してください。
高潮と津波はどちらが危険?
どちらも命に関わる危険があります。津波は地震後すぐに到達することがあり、高潮は台風の接近や満潮と重なって広い範囲で浸水することがあります。どちらが危険かを比べるより、自分の地域で想定される災害ごとに避難方法を確認することが大切です。
高潮は満潮の時だけ起こる?
満潮時は危険が高まりますが、高潮は満潮の時だけ起こるわけではありません。台風の気圧低下や強風で海面が上がるため、満潮前後や高波と重なる時間帯にも注意が必要です。
マンションなら避難しなくてよい?
マンションの上階は浸水から逃れやすい場合がありますが、停電、断水、エレベーター停止、周辺道路の浸水が起こることがあります。建物が安全で上階に避難できる場合でも、自治体の避難情報や管理組合の案内を確認してください。
車で避難してもよい?
早い段階なら車避難が有効な場合もありますが、台風接近後は渋滞、冠水、強風、飛来物で危険です。避難所の駐車場が限られることもあります。車で避難するなら、雨風が強まる前に、自治体の案内に従って行動しましょう。
高潮ハザードマップがない地域は安全?
ハザードマップが見つからないから安全とは限りません。海岸、河口、低地、埋立地、地下空間がある地域では、自治体の防災ページや窓口で最新情報を確認してください。

まとめ
高潮とは、台風や発達した低気圧によって海面が通常より高くなる現象です。津波は地震などで海水全体が長い波として伝わる現象で、高潮とは原因や避難情報が異なります。どちらも沿岸部に大きな被害をもたらすため、違いを知って早めに行動することが大切です。
高潮は台風前から備える
高潮は、台風情報、満潮時刻、高潮警報・注意報、自治体の避難情報を見ながら、前もって備えられる災害です。浸水が始まってからでは避難が難しくなるため、風雨が強くなる前に行動しましょう。
津波は揺れたらすぐ避難
津波は、強い揺れや長い揺れを感じたら、津波警報を待たずに高い場所へ避難することが重要です。高潮と津波は避難のきっかけが違うため、両方の避難先を確認しておきましょう。
今日確認すること
自宅が高潮浸水想定区域に入っているか、避難所までの道が浸水しないか、満潮時刻をどこで確認するか、非常持ち出し袋があるかを確認してください。高潮への備えは、台風が近づいてから慌てるものではなく、平時に避難先と行動を決めておくことから始まります。沿岸部で暮らす人だけでなく、河口や低地へ通勤・通学する人も一度確認しておきましょう。家族で共有しておくと安心です。早めに確認しましょう。今すぐできます。今日から備えよう。避難先も確認しましょう。