土砂災害のレッドゾーン・イエローゾーンとは?警戒区域・避難タイミング・備えを徹底解説
大雨や台風のニュースで「土砂災害警戒区域」「土砂災害特別警戒区域」「イエローゾーン」「レッドゾーン」「土砂災害警戒情報」という言葉を見ても、実際に自分の家で何をすればよいのか分かりにくいことがあります。特に、家が山際や斜面の近くにある、保育園や学校が警戒区域内にある、火災保険で土砂崩れが補償されるのか気になる、という人にとっては切実なテーマです。
この記事では、土砂災害のレッドゾーン・イエローゾーンの違い、土砂災害警戒情報と警戒レベル、前兆現象、避難タイミング、家庭や保育園での訓練、土砂崩れと水災補償の考え方まで、公式情報に沿って整理します。危険な自己判断をすすめるものではありません。実際の災害時は、市町村の避難情報、気象庁・都道府県の情報、消防・警察・施設管理者の指示を優先してください。
参考にした主な公的情報
土砂災害のレッドゾーン・イエローゾーンとは
土砂災害のレッドゾーン・イエローゾーンは、法律上の区域名を分かりやすく言い換えた呼び方です。一般に、イエローゾーンは「土砂災害警戒区域」、レッドゾーンは「土砂災害特別警戒区域」を指します。どちらも、土砂災害の危険がある場所を住民に知らせ、避難や建築上の対策につなげるために指定されます。
イエローゾーンは土砂災害警戒区域
イエローゾーンは、急傾斜地の崩壊、土石流、地すべりなどが発生した場合に、住民の生命や身体に危害が生じるおそれがある区域です。ここに入っているからすぐ住めないという意味ではありませんが、大雨時には早めの避難判断が必要になる地域です。自治体のハザードマップで自宅、職場、学校、保育園、通勤ルートが含まれていないか確認しましょう。
レッドゾーンは土砂災害特別警戒区域
レッドゾーンは、土砂災害が起きたときに建物が壊れ、住民の生命や身体に著しい危害が生じるおそれがある区域です。イエローゾーンよりも危険度が高く、特定の開発行為の制限や建築物の構造規制が関係することがあります。すでに家がある場合でも、大雨時の避難計画、建物の安全性、保険、家族の連絡方法をより具体的に確認する必要があります。
色だけで安心・危険を決めない
レッドゾーンではないから安全、イエローゾーンだから必ず被害が出る、という単純な判断はできません。区域指定は重要な手がかりですが、雨の降り方、地形、排水、過去の崩壊、斜面の状態、周辺の工事、避難経路の安全性によって危険は変わります。区域の外でも、斜面や沢、崖の近くでは大雨時に注意が必要です。
不動産・住宅購入時にも確認する
住宅を購入・賃貸するとき、土地を相続するとき、建て替えを考えるときは、土砂災害警戒区域や特別警戒区域に入っていないかを確認しましょう。自治体のハザードマップ、重ねるハザードマップ、不動産会社の重要事項説明、自治体の窓口が確認先になります。区域内で暮らす場合は、住むこと自体を不安だけで判断するのではなく、避難計画と備えをセットで考えます。

土砂災害警戒区域とは
土砂災害警戒区域とは、土砂災害防止法に基づき、土砂災害が発生した場合に住民の生命または身体に危害が生じるおそれがある区域として指定される場所です。警戒避難体制を整えるための区域であり、住民が危険を知り、避難行動につなげるための情報です。
対象になる土砂災害の種類
主な対象は、急傾斜地の崩壊、土石流、地すべりです。急傾斜地の崩壊は、崖や斜面が一気に崩れる現象です。土石流は、山や谷にたまった土砂や石が水と一緒に流れ下る現象です。地すべりは、斜面の一部が広い範囲でゆっくり、または急に動く現象です。どれも大雨や地震をきっかけに発生することがあります。
区域に入っている家で最初に確認すること
自宅が警戒区域に入っている場合、最初に確認したいのは、避難先、避難経路、避難にかかる時間、家族の移動手段です。高齢者、乳幼児、障害がある人、ペットがいる家庭では、雨が強くなってからの避難が難しくなります。避難情報が出てから考えるのではなく、平時に「どこへ、誰と、何を持って、どの道で行くか」を決めておきましょう。
区域指定は避難の入口
土砂災害警戒区域に指定されていることは、避難を考える入口です。大雨のたびに必ず避難所へ行くべきという意味ではありませんが、警戒レベルや土砂キキクルの危険度が高まったときには、早めに安全な場所へ移動する判断が必要になります。特に夜間や早朝に大雨が予想される場合は、明るいうちの避難を検討してください。
区域の確認方法
区域は、市区町村のハザードマップ、都道府県の土砂災害警戒区域マップ、国土交通省のハザードマップポータルサイトなどで確認できます。住所検索だけでなく、地図を拡大して、自宅の裏山、近くの沢、通学路、避難所までの道が区域にかかっていないかを見ることが大切です。

土砂災害特別警戒区域とは
土砂災害特別警戒区域は、土砂災害警戒区域のうち、建物が壊れるなどして住民の生命や身体に著しい危害が生じるおそれがある区域です。一般にレッドゾーンと呼ばれます。住宅の安全、避難の速さ、建物の構造、保険の確認がより重要になります。
レッドゾーンで特に大切な考え方
レッドゾーンでは、「家の中にいれば安全」とは限りません。土砂が建物にぶつかる、1階部分に流れ込む、裏山側の部屋が危険になる可能性があります。大雨時に避難が必要な地域では、屋内の高い場所へ移動するより、早めに区域外の安全な場所へ避難するほうが適切な場合があります。夜間や豪雨の中での移動は危険なので、早めの判断が重要です。
建物や土地の制限が関係する
土砂災害特別警戒区域では、住宅地分譲などの特定開発行為に許可が必要になったり、建築物の構造規制が関係したりすることがあります。すでに建っている家でも、増改築や売買、賃貸、相続の場面で確認が必要です。詳しい扱いは自治体や専門家に確認してください。
避難計画を家族単位で作る
レッドゾーンに自宅がある場合、避難先を1つだけにしないことが大切です。指定避難所、親族宅、ホテル、近隣の安全な建物、車を使わない徒歩ルートなど、複数の選択肢を用意します。大雨で道路が冠水したり、土砂で道がふさがれたりすることもあるため、避難経路も複数確認しましょう。
引っ越しや住み替えを考える場合
レッドゾーンに住んでいるから必ず引っ越さなければならない、という単純な話ではありません。ただし、高齢者だけの世帯、避難に時間がかかる世帯、過去に斜面の変状がある場所では、住み替えや寝室の位置変更、避難先の確保を現実的に検討する価値があります。判断に迷う場合は、自治体の防災担当、建築士、宅地建物取引士、保険会社などに相談してください。

土砂災害警戒情報と警戒レベル
土砂災害警戒情報は、大雨による土砂災害の危険度が高まったときに、都道府県と気象台が共同で発表する情報です。市町村が避難指示などを判断する材料になり、住民が避難を考える重要なサインでもあります。
土砂災害警戒情報は警戒レベル4相当
土砂災害警戒情報は、避難情報の警戒レベルでいうと「警戒レベル4相当情報」とされます。警戒レベル4は、危険な場所から全員避難する段階です。ただし、警戒レベル相当情報は気象状況の危険度を示すもので、市町村が出す避難指示そのものとは別です。両方を確認し、危険な場所にいる場合は遅れず避難しましょう。
警戒レベル3で高齢者等は避難
警戒レベル3の「高齢者等避難」が出たら、高齢者、障害がある人、乳幼児がいる家庭、避難に時間がかかる人は避難を始める段階です。土砂災害は暗くなってから急に危険が増すことがあるため、避難に不安がある家庭は警戒レベル3を重く受け止めましょう。
警戒レベル4で全員避難
警戒レベル4の「避難指示」が出たら、危険な場所にいる人は全員避難が必要です。「まだ近所が避難していない」「雨が少し弱くなった」「家の中なら大丈夫」と判断して待つのは危険です。土砂災害は前触れが分かりにくく、発生してから逃げる時間がほとんどないことがあります。
警戒レベル5を待ってはいけない
警戒レベル5は、すでに災害が発生または切迫している段階です。この段階で安全な避難ができるとは限りません。警戒レベル5を待つのではなく、警戒レベル4までに危険な場所から離れることが基本です。避難できない場合は、崖や沢から離れた部屋、建物の2階以上など、少しでも安全な場所へ移動しますが、これは避難が間に合わない場合の次善策です。
土砂キキクルも確認する
気象庁のキキクルでは、土砂災害の危険度が地図上で色分けされます。危険度が高まっている場所を視覚的に確認できるため、自宅周辺や避難経路の状況を見るのに役立ちます。ただし、地図を見てから避難するのでは遅いこともあります。雨が強まる前から、避難先と行動開始の目安を決めておきましょう。

ハザードマップで確認する手順
土砂災害への備えでは、ハザードマップを見たことがあるかどうかで避難の速さが変わります。ただし、地図に色がついているかを見るだけでは不十分です。自宅、職場、学校、保育園、親の家、避難所、避難経路をセットで確認しましょう。
住所検索だけで終わらせない
ハザードマップは住所検索が便利ですが、自宅のピンだけを見て終わると危険を見落とすことがあります。家の裏側、隣の斜面、近くの沢、通学路、避難所までの道路、車で迎えに行くルートも拡大して確認します。土砂災害は家の敷地だけでなく、移動中の道路や橋、谷沿いの道でも問題になります。
避難所が安全な場所か確認する
指定避難所が、自宅から見て必ず安全な方向にあるとは限りません。避難所までの道が土砂災害警戒区域を通る場合や、川沿い・冠水しやすい道路を通る場合があります。避難所そのものだけでなく、そこへ行く経路が安全か、徒歩で何分かかるか、夜でも分かる道かを確認してください。
紙とスマホの両方で保存する
災害時は通信が混み合い、スマホで地図を開けないことがあります。ハザードマップはスマホに保存するだけでなく、必要な部分を印刷して非常持ち出し袋や玄関に置いておくと安心です。家族が別々の場所にいる場合は、それぞれの職場・学校周辺の地図も共有しましょう。
更新日を確認する
ハザードマップや区域指定は更新されることがあります。古い紙の地図だけに頼るのではなく、自治体や都道府県の最新ページを定期的に確認しましょう。引っ越し、入園・入学、職場変更、親の介護が始まったタイミングは、避難先やルートを見直すよい機会です。

土砂災害の前兆と危険なサイン
土砂災害には前兆とされる現象があります。ただし、前兆が必ず現れるとは限らず、前兆を見てから避難しても間に合わない場合があります。前兆は「避難を始める合図」ではなく、「すでに危険が迫っているかもしれないサイン」と考えましょう。
崖崩れの前兆
崖から小石が落ちる、斜面にひび割れができる、湧き水が増える、濁った水が出る、木が傾く、斜面から異音がする、といった現象は危険なサインです。見に行ったり、写真を撮りに近づいたりするのは危険です。安全な場所へ離れ、自治体や消防に連絡してください。
土石流の前兆
山鳴りがする、川の水が急に濁る、流木が混ざる、雨が降り続いているのに川の水位が下がる、腐った土のようなにおいがする場合は、土石流の危険が高まっている可能性があります。沢や川沿いの低い場所にいる場合は、川と直角方向に離れるなど、少しでも安全な方向へ移動します。
地すべりの前兆
地面にひびが入る、井戸や沢の水が濁る、家や擁壁にひびが入る、電柱や木が傾く、地面が盛り上がるなどは地すべりの前兆とされます。地すべりは広い範囲で起きることがあるため、自己判断で近づかず、自治体の情報を確認してください。
前兆がなくても避難する
最も大切なのは、前兆がなくても避難することです。土砂災害は夜間や豪雨の中で突然起きることがあります。警戒区域にいて、警戒レベル3や4、土砂災害警戒情報、キキクルの危険度上昇が確認された場合は、前兆の有無に関係なく早めに行動しましょう。

土砂災害の避難タイミング
土砂災害の避難で難しいのは、「まだ大丈夫」と思っているうちに避難が危険になることです。雨が強くなってから、夜になってから、道路が冠水してからでは、避難先へ移動できないことがあります。避難のタイミングは、早めに設定しておく必要があります。
高齢者等避難で動き始める家庭
高齢者、乳幼児、障害がある人、妊娠中の人、病気やけががある人、ペット連れ、車が使えない家庭は、警戒レベル3の高齢者等避難で行動を始めるのが基本です。避難に時間がかかる家庭ほど、雨が弱いうち、明るいうちに動くことが安全につながります。
避難指示が出たら危険な場所から離れる
警戒レベル4の避難指示が出たら、土砂災害警戒区域や斜面・沢の近くにいる人は、安全な場所へ避難します。避難所へ行くことだけが避難ではありません。区域外の親族宅、ホテル、安全な建物、上階や山側から離れた部屋など、状況に応じて安全を確保します。ただし、屋内安全確保は建物が安全で、移動がかえって危険な場合の方法です。
夜間の避難を避ける準備
土砂災害の避難では、夜間の移動が特に危険です。足元が見えにくく、冠水、側溝、落石、倒木に気づきにくくなります。夜に大雨が予想される場合は、夕方までに避難する、親族宅へ移動する、避難に必要な荷物を玄関に置くなど、前倒しの判断が大切です。
避難しない理由を先につぶす
避難が遅れる理由には、「近所が動いていない」「荷物がまとまらない」「ペットがいる」「避難所が遠い」「雨が弱まった気がする」などがあります。平時に避難先、持ち物、ペット対応、交通手段、家族の連絡を決めておくと、いざというときに迷いが減ります。

避難先の選び方と移動の注意点
土砂災害の避難先は、指定避難所だけとは限りません。大切なのは、土砂災害の危険がある場所から離れ、安全に過ごせる場所を早めに確保することです。親族宅、知人宅、ホテル、公共施設、地域の避難所など、複数の選択肢を持っておくと判断しやすくなります。
区域外の親族宅やホテルも選択肢
大雨のたびに避難所へ行くことが負担になる家庭では、区域外の親族宅やホテルを事前に候補にしておく方法があります。特に乳幼児、高齢者、ペットがいる家庭では、避難所生活の負担が大きくなることがあります。台風が近づいている段階で早めに移動すれば、豪雨の中を歩く危険を減らせます。
避難所へ持って行くものを絞る
避難時は、すべての備蓄を持って行こうとすると移動が遅れます。避難所へ持って行くものは、薬、保険証、スマホ、充電器、現金、水、軽食、雨具、タオル、着替え、携帯トイレ、子どもや高齢者に必要な用品などに絞ります。重い荷物より、早く安全な場所へ移動することを優先しましょう。
冠水した道路を歩かない
大雨時に冠水した道路は、側溝やマンホール、段差が見えません。水深が浅く見えても流れが強い場合があります。車でも、冠水したアンダーパスや低い道路に入ると動けなくなる危険があります。避難は、冠水する前、暗くなる前に済ませるのが基本です。
車避難の注意点
車で避難する場合は、渋滞、冠水、土砂、通行止め、駐車場所を考える必要があります。車なら安全というわけではありません。避難所によっては駐車場が限られます。自治体が車避難をどう扱っているかを事前に確認し、徒歩避難と車避難の両方を想定しておきましょう。

大雨・台風で土砂崩れが起きやすい条件
土砂災害は、短時間の猛烈な雨だけでなく、長時間降り続く雨でも起こります。台風、線状降水帯、梅雨前線、秋雨前線、融雪、地震後の地盤のゆるみなど、複数の条件が重なると危険が高まります。
長雨で地盤に水がたまる
雨が長く続くと、地中に水がたまり、斜面が崩れやすくなります。雨が一時的に弱まっても、地盤の中には水が残っていることがあります。「雨が弱くなったからもう大丈夫」と考えず、土砂災害警戒情報やキキクル、自治体の避難情報を確認しましょう。
短時間の強い雨で一気に危険が増す
短時間に強い雨が降ると、排水が追いつかず、沢や水路に水が集まり、土石流や斜面崩壊の危険が高まります。道路が川のようになる、側溝から水があふれる、斜面から濁った水が出る場合は危険です。外へ確認しに行かず、安全な場所へ移動してください。
地震後の斜面は注意が必要
大きな地震の後は、斜面や擁壁、地盤がゆるんでいることがあります。その後の雨で土砂災害が起こりやすくなる場合があるため、地震後しばらくは斜面近くの家や道路で注意が必要です。ひび割れ、傾き、湧き水の変化を見つけた場合は、近づかず自治体へ相談しましょう。
下水・排水の詰まりも確認する
ユーザー検索で混ざりやすい「下水災」や排水トラブルも、大雨時の生活被害に関係します。土砂や落ち葉で側溝・排水路が詰まると、道路冠水や敷地内への水の流入が起こることがあります。平時に家の周りの排水口、雨どい、側溝を点検し、危険な作業は雨が降る前に済ませてください。大雨の最中に側溝を見に行くのは危険です。

大雨前から発生後までの行動
土砂災害対策は、雨が降り始めてからでは遅れることがあります。台風や線状降水帯の可能性があると分かった段階から、時系列で行動を決めておくと、避難判断がしやすくなります。
大雨の前日までにすること
前日までに、ハザードマップ、避難先、家族の連絡先、持ち出し袋、車の燃料、スマホ充電、薬、ペット用品を確認します。雨どい、側溝、排水口の掃除は、雨が強くなる前に済ませます。斜面や擁壁のひび割れを見つけた場合は、近づいて作業せず、自治体や専門家へ相談してください。
大雨が降り始めたら
雨が降り始めたら、気象情報、自治体の避難情報、土砂キキクルを定期的に確認します。避難に時間がかかる家庭は、警戒レベル3を待たずに自主的な早めの移動を検討してもよい場合があります。夜に雨が強まる予報なら、明るいうちに避難する判断が重要です。
警戒情報が出たら
土砂災害警戒情報や避難指示が出たら、危険な場所にいる人は避難を具体的に実行する段階です。荷物をまとめ直す、家の外を見に行く、近所の様子を確認する、車で遠回りするなどで時間を使いすぎないようにします。避難先へ連絡し、ブレーカーや戸締まりなど可能な範囲の確認をして移動します。
避難できないほど危険になったら
すでに外が冠水している、土砂や流木が流れている、夜間で足元が見えないなど、外へ出ることが危険な場合は、屋内で少しでも安全な場所へ移動します。崖や沢から離れた部屋、斜面と反対側の部屋、2階以上が候補です。ただし、これは避難が間に合わなかった場合の行動であり、基本は早めに区域外へ避難することです。
雨が弱まった後も注意する
雨が弱まっても、地盤の中には水が残っています。土砂災害は雨のピーク後に起きることもあります。避難先から自宅へ戻るときは、自治体の情報、道路状況、周辺の斜面の異常を確認し、危険な場所へ近づかないでください。被害がある場合は、写真を撮れる範囲で記録しますが、安全が最優先です。

家庭で備えるもの
土砂災害への備えは、非常持ち出し袋だけでは不十分です。早めに避難するための持ち物、家に残る場合の安全確保、避難先で過ごすための用品を分けて考えましょう。
非常持ち出し袋
水、軽食、常備薬、保険証や身分証のコピー、現金、スマホ充電器、モバイルバッテリー、懐中電灯、雨具、タオル、マスク、ウェットティッシュ、携帯トイレ、着替え、軍手を入れます。土砂災害では雨の中を移動する可能性があるため、防水袋、レインコート、歩きやすい靴が重要です。
大雨避難で役立つもの
傘より両手が空くレインコート、滑りにくい靴、ヘッドライト、防水スマホケース、予備の靴下、ビニール袋、タオルが役立ちます。長靴は水が入ると歩きにくくなる場合があるため、浸水が深い場所を歩く前提にしないことが大切です。冠水した道や側溝が見えない道は避けましょう。
在宅時の備え
避難が必要ない状況でも、大雨で停電や断水が起こることがあります。水、食料、携帯トイレ、ライト、電池、ラジオ、モバイルバッテリーを用意します。斜面側の部屋で寝ない、雨戸やカーテンを閉める、家族が集まる部屋を決めるなど、家の中の安全も確認しましょう。
ペット・子ども・高齢者の用品
乳幼児にはミルク、離乳食、おむつ、着替え、母子手帳のコピー。高齢者には薬、介護用品、補聴器の電池、眼鏡、入れ歯用品。ペットにはフード、水、トイレ用品、ケージ、リード、写真、ワクチン情報を用意します。避難所でペットをどう受け入れるかは自治体によって異なるため、事前確認が必要です。

保育園・学校・施設の土砂災害避難訓練
保育園、学校、高齢者施設、障害者施設が土砂災害警戒区域にある場合、避難訓練は特に重要です。施設では、子どもや利用者が自力で素早く避難できないことも多く、職員の判断と手順が安全を左右します。
避難確保計画を確認する
土砂災害警戒区域内の要配慮者利用施設では、避難確保計画の作成や避難訓練が求められる場合があります。保護者としては、施設がどの警戒レベルで避難を始めるのか、避難先はどこか、引き渡しはどう行うのか、連絡手段は何かを確認しておきましょう。
保育園の避難訓練で見るポイント
保育園では、子どもを歩かせるのか、避難車を使うのか、雨具や靴はどうするのか、避難先まで何分かかるのかが重要です。大雨の中での移動は負担が大きいため、警戒レベル3の段階で早めに動く計画が必要になる場合があります。保護者も、急な迎えの連絡が来た場合の担当者を決めておきましょう。
学校・学童・習い事のルール
学校や学童では、下校させるのか、校内待機するのか、保護者引き渡しにするのかを確認します。大雨時に子どもだけで帰すことが危険な場合があります。保護者が車で迎えに行く場合も、道路冠水や渋滞、土砂災害警戒区域を通るルートに注意が必要です。
訓練は家族にもつなげる
施設の避難訓練は、家庭の訓練とつながって初めて実効性が高まります。子どもに避難先の名前を教える、保護者の連絡先を更新する、祖父母が迎えに行く場合の身分確認を共有するなど、細かい準備が災害時の混乱を減らします。

家・土地・保険で確認すること
土砂災害は、命を守る避難だけでなく、家や家計にも大きく関わります。自宅が警戒区域にある場合、建物の安全、土地の状態、保険の補償範囲を平時に確認しておきましょう。
火災保険の水災補償を確認する
土砂崩れや土石流による住宅被害は、火災保険の「水災」補償で対象になる場合があります。ただし、契約内容、保険会社、特約、免責金額、損害の程度によって扱いが異なります。東京海上日動など大手保険会社を含め、各社の商品内容は変わるため、自分の契約書と最新の約款を確認し、分からない場合は保険会社や代理店に問い合わせてください。
土砂災害と地震保険の違い
大雨による土砂崩れと、地震を原因とする地盤崩壊では、保険上の扱いが変わることがあります。火災保険の水災補償で見るのか、地震保険の対象になるのかは原因と契約内容によって異なります。災害後に慌てないため、平時に「大雨の土砂崩れ」「地震後の斜面崩壊」「床上浸水」など、ケースごとの補償を確認しておくと安心です。
写真と書類を残す
被害に備えて、家の外観、斜面側の壁、擁壁、室内、家財、保険証券を写真で残しておくと、被害後の手続きに役立つことがあります。災害後に片付けを急ぐ場合も、可能な範囲で被害状況を撮影してから動かすとよいでしょう。ただし、危険な場所へ撮影に行くことは避けてください。
擁壁・排水・斜面の相談先
擁壁のひび割れ、排水不良、斜面の変状がある場合は、自己判断で補修せず、自治体、専門業者、建築士などに相談します。雨が降っている最中に斜面へ近づくのは危険です。平時に点検し、気になる場所を早めに確認しておくことが大切です。

レッドゾーン・イエローゾーンの家で暮らす工夫
警戒区域内に住んでいる場合、毎日不安を抱えて暮らすのではなく、危険が高まる条件を知り、早く動ける仕組みを作ることが大切です。家の中の使い方、寝る場所、情報の受け取り方、近所との連携を見直すだけでも、避難の遅れを減らせます。
寝室を斜面側から離す
可能であれば、寝室を斜面や崖、沢に面した部屋から離します。特にレッドゾーンでは、土砂が建物にぶつかる危険を考え、寝る場所を2階や斜面と反対側へ移すことも検討します。建物の構造や地形によって適切な場所は変わるため、不安がある場合は自治体や専門家に相談しましょう。
避難開始の基準を家庭で決める
「避難指示が出たら」「土砂災害警戒情報が出たら」「夜に大雨が予想されたら」「警戒レベル3で高齢者は移動する」など、家庭ごとの避難開始基準を決めておきます。基準を決めていないと、雨が強くなるほど判断が難しくなります。迷ったときは安全側に倒す、というルールも大切です。
近所や自治会と情報を共有する
警戒区域では、近所の声かけが避難のきっかけになることがあります。高齢者だけの世帯、車がない世帯、避難に支援が必要な人がいる場合、自治会や民生委員、近所の人と平時に連絡方法を確認しておくと安心です。ただし、災害時に助けに行く側が危険に巻き込まれないよう、無理な行動は避けます。
家族が離れているときの判断
平日の昼間に大雨が強まると、家族が職場、学校、保育園、自宅に分かれていることがあります。誰が子どもを迎えに行くのか、迎えに行けない場合は施設で待機するのか、親の家を誰が確認するのかを決めておきましょう。道路が危険な場合、迎えに行くこと自体が危険になることもあります。

よくある疑問
ここでは、土砂災害に関して検索されやすい疑問をまとめます。実際の避難や保険請求は、地域の状況や契約内容で変わるため、最終判断は公式情報や専門窓口で確認してください。
イエローゾーンなら避難しなくていい?
イエローゾーンでも、大雨時には避難が必要になる場合があります。土砂災害警戒区域は、土砂災害で住民に危害が生じるおそれがある区域です。警戒レベル3や4、土砂災害警戒情報、キキクルの危険度上昇を確認し、危険な場所にいる場合は早めに避難しましょう。
レッドゾーンに家があると住めない?
レッドゾーンに家があるから直ちに住めない、という意味ではありません。ただし、土砂災害時に建物が損壊し、命に危険が及ぶおそれがある区域です。避難計画、建物の安全性、保険、寝室の位置、避難先をより具体的に確認する必要があります。
土砂災害警戒情報が出たら必ず避難?
土砂災害警戒情報は、土砂災害の危険度が高まっている重要な情報です。危険な場所にいる人は避難を強く意識すべき段階です。ただし、市町村の避難指示や地域の状況も合わせて確認します。警戒区域内、斜面や沢の近く、避難に時間がかかる家庭では、遅れず行動しましょう。
前兆が見えなければ大丈夫?
前兆がなくても土砂災害は起こります。前兆を確認してから逃げる考え方は危険です。前兆は、すでに危険が迫っているかもしれないサインです。警戒情報や避難情報が出ている場合は、前兆の有無に関係なく避難判断をしてください。
避難所へ行けないときはどうする?
すでに外へ出ることが危険な場合は、崖や沢から離れた部屋、建物の2階以上、斜面と反対側の部屋へ移動するなど、少しでも安全な場所で身を守ります。ただし、これは避難が間に合わない場合の次善策です。基本は、暗くなる前、雨が強まる前に安全な場所へ移動することです。

まとめ
土砂災害のイエローゾーンは土砂災害警戒区域、レッドゾーンは土砂災害特別警戒区域を指すことが一般的です。イエローゾーンは土砂災害で生命や身体に危害が生じるおそれがある区域、レッドゾーンは建物損壊などにより著しい危害が生じるおそれがある区域です。
避難は警戒レベル4を待ちすぎない
土砂災害警戒情報は警戒レベル4相当情報であり、危険な場所にいる人は避難を考える重要なサインです。高齢者や乳幼児がいる家庭、避難に時間がかかる人は警戒レベル3で行動を始めます。警戒レベル5を待ってはいけません。
前兆より情報と計画を重視する
崖のひび割れ、濁った水、山鳴り、落石などの前兆は危険なサインですが、前兆がないまま災害が起こることもあります。自治体の避難情報、気象庁の土砂災害警戒情報、キキクル、ハザードマップを使い、前もって避難する計画を立てましょう。
今日確認する3つのこと
まず、自宅や保育園・学校が警戒区域に入っているかを確認します。次に、避難先と避難経路を決めます。最後に、非常持ち出し袋と保険の水災補償を確認します。土砂災害への備えは、怖がるためではなく、雨が強まる前に迷わず動くための準備です。